縁日文化を現代の日常にリバイバル 「江戸東京夜市」

8月23、24日、DMO東京丸の内、神田神社と地域一帯が連携したイベント「江戸東京夜市」が開催されました。 訪日外国人の誘客、地域活性化に於ける日本の縁日文化普及を目指した本イベントでは、神田明神の境内にさまざまな屋台が並び、神楽殿ではライブパフォーマンスが展開。縁日・お祭り・サブカルチャーなど、多様な分野の日本文化が体験することができる場として、老若男女・国籍問わず多くの人で賑わいました。 また、当日は大丸有・神田エリアに滞在する訪日外国人やワーカーを対象に、神田明神と大丸有エリアをつなぐシャトルバスが無料走行。夜のひと時を江戸東京夜市で楽しんだ後、大丸有エリアでは新丸ビル7階で朝4時まで営業している(marunouchi)HOUSEにて時間を気にせず過ごすなど、相互誘客連携の仕組みによって両エリアを楽しまれる様子も見られました。

先進的なビジネス街と伝統的な神社の連携は

今年初開催となった「江戸東京夜市」。本イベントは、2019年3月に公募が行われた観光庁による「最先端観光コンテンツ インキュベーター事業」内のナイトタイムエコノミーの創生事業として、DMO東京丸の内と同会員である神田明神とが連携して企画がスタートしました。
DMO東京丸の内では現在MICEに関わる28の会員が一体となり大丸有エリアへの都心型MICE誘致を推進しています。その中で、エリア内ホール・コンファレンス施設や世界トップクラスのホテルなどを利用し、当エリアに滞在する訪日外国人は多いものの、ナイトタイムコンテンツに関しては未だ訴求が定着していないという課題がありました。

一方神田明神は、730年(天平2年)の創建から1300年を迎える記念事業の一環として、2018年12月に文化交流館「EDOCCO神田明神文化交流館」をオープンしました。「伝統と革新」をテーマに、日本の伝統文化やサブカルチャーを国内外の人が幅広く体験できる場所として、一般来訪者が楽しめるカフェやショップから、MICEにも活用できるコンファレンスホールやラウンジまで兼ね揃えています。
オープン時から積極的にインバウンド向けの取り組みを行っていましたが、さらに「文化・経済」の両面で街の活性化を図るため、核となるコンテンツが求められていました。

こうした双方の課題を解決すべく生まれたのが「江戸のお祭り」をテーマにしたナイトタイムコンテンツ「江戸東京夜市」です。夜市とは、台湾をはじめとするアジア諸国で開催されるナイトマーケットのことで、飲食やお土産の屋台が多く立ち並び、観光資源のひとつとして注目されています。そうした人気の高い夜市に、「江戸のお祭り」という独自のテーマを取り入れることで、他のアジア諸国とは異なる、日本ならではの体験に溢れたイベントとなりました。

お祭りを日常的に楽しんでもらうために

本イベントは、日本の縁日文化を世界へ発信することを目的に、月に一度開催される予定です。この月に一度という点が重要と、「EDOCCO神田明神文化交流館」事業開発部長の岩田雅治さんは話します。
「いまでこそお祭りは年に一度が当たり前になっていますが、かつては月に一度の頻度で開催され、日常的に楽しめるものでした。日本の伝統的な風景として世界からも注目されていますが、年一度の開催ではそのタイミングに参加できる人は限られてしまう。原風景を楽しんでもらうためには、お祭り自体を日常的なものに復活させる必要があると考えました」

岩田さんの話を受けて、神田明神権禰宜の櫻井洋平さんも続けます。
「インバウンド向けにさまざまな取り組みを行ってきましたが、”訪日外国人向け”に企画したものはあまり反応がありません。グローバル化された日本文化ではなく、実際に昔から根付いている日本文化に触れたいという方が多いと感じています。その中で、神田明神は1300年の歴史が根付いている場所として、この場所だからこそできる体験をしてもらいたいと思います」

そうした想いの詰まったお祭りは、単なる原風景の復活でなく、今の時代だからこそ体験することができるコンテンツに溢れています。たこ焼きや金魚すくいなど定番屋台が並ぶ傍ら、妖怪やコスプレなどのサブカルチャー要素を散りばめた屋台に、アイドルやハローキティのライブパフォーマンスが展開。こうした挑戦的なラインナップも、神田明神の先見的な姿勢があってこそでしょう。

「『伝統と革新』というテーマを掲げていますが、伝統とは守っていくのではなく、新しい試みとして生まれたものが最終的に伝統として根付いていくことに気づきました。すべての伝統を紐解くと、その時代ごとにチャレンジしていることの繰り返しなのです。今回のコンテンツ内容もそういった視点で新しいカルチャーを取り入れていくべきだと思いました」(櫻井さん)

そうして生まれた伝統と革新が融合した空間は、外国人客はもちろん日本の参加者にも新鮮に写ったようで、興味津々の様子でした。

2018年の発足から、28の会員の方と連携することでより挑戦的な都心型エリアMICEを実施してきたDMO東京丸の内。大丸有エリアを超えた連携によって、さらなるエリア活性、価値向上を生んでいきます。

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