夏休みの小学生向け体験プログラム「エコキッズ探検隊2022」

「大手町・丸の内・有楽町 エコキッズ探検隊2022」が8月1日から始まりました。
次世代を担う子どもたちに、都市エリアが直面している様々な課題を、遊びながら、楽しみながら考えてもらうこの取り組みは、2020年と2021年の番外編を含めて今年で18回目。コロナ禍を乗り越え、3年ぶりのワークショップ形式で開催されました。エコキッズ探検隊は、大丸有エリアの企業や団体の協力のもと、日本有数のビジネス街ならではの人や物事、まちづくりに触れることができる本格的な体験を提供しています。今年は「体力」「まちめぐり」「理科実験」「食」「工作」5つのテーマに11のプログラムを用意し、子どもたちの興味・関心を引き出しました。

【食のワークショップ】
東京駅駅舎の目の前で、本格「エコ餃子」作り

8月1日に行われたのは、「目指せ!リトルシェフ 井上シェフと学ぶクッキングスクール 皮から作るエコ餃子」です。小学3年生から6年生の8組16人の親子を迎えて、オリジナルの餃子を皮から作りました。教えてくれたのは、四川豆花飯荘 東京店の料理長・井上高男シェフ。井上シェフは、丸の内エリアに店舗を構えるシェフから構成される「丸の内シェフズクラブ」のメンバーであり、食育をはじめとした食に関するあらゆることに取り組んでいます。
会場は、新丸ビル6階にある四川豆花飯荘 東京店。四川豆花飯荘は、食文化の東西交流地シンガポールで育った「シンガポール四川」を東京駅の駅舎を見ながら楽しめる、グローバルな新しい中国料理レストランです。

この日作ったのは、豆腐を使ったヘルシーでエコな特製餃子。家庭でも再現しやすいように考案されたレシピです。はじめに、井上シェフが各工程のポイントや注意点を説明しながら、皮や餡を作ります。シェフに近づいて手元を見ながら、集中して説明を聞く子どもたち。生地と餡を参加者に配り、いよいよ実際に調理を開始します。
配られた生地を切り分けて丸く伸ばす過程では、「均等に切れない」「まん丸に伸ばせない」と苦戦する子どもたちも。何とか皮が完成し、餡を包んでいきます。「きれいに包むのが難しい」といった声が上がる中、井上シェフがテーブルを回りながら、餃子を包むときの手先の使い方を丁寧にレクチャーしていきます。最初はうまく包めずにお母さんに手伝ってもらっていた子どもたちも、何個か包むうちにコツをつかんで上手に包めるようになり、親子で協力しながら1組あたり30個もの餃子を作りました。

餃子が焼きあがるのを待つ間、「茶藝」という芸術的なパフォーマンスが披露されました。至近距離で繰り広げられる迫力満点なパフォーマンスに、参加者からは歓声と拍手が起こります。手作り餃子の他に、前菜、コーンスープ、チャーハン、デザートが運ばれてきて、本格的な中華ランチコースを楽しみました。山盛りの手作り餃子はインパクトがあり、運ばれてきた餃子を見た子どもたちからは笑顔が溢れます。「皮がパリパリで美味しい!」「お豆腐も入っているのにお肉感がすごい!」「優しい味だね」親子の会話も弾みます。食べきれなかった餃子は、「家に帰って家族に食べてもらいたい」と持ち帰り用のパックに詰める参加者も。自分たちで作った餃子は美味しさも格別。食事が終わる頃には、参加者たちはお腹も達成感もいっぱいのようでした。
「お子様が食に興味を持ってくれるようなきっかけを作るのが使命だと思っています」と話す井上シェフ。「私自身かなり幼い頃からコックになりたいと思っていました。小さい頃から、こういったイベントを介して料理の楽しさを知ってもらえたらうれしいですね」

【まちめぐりのワークショップ】
丸の内の地下から考えよう。都市エネルギー供給システム

8月16日に開催されたプログラムは、「丸の内の地下にある秘密を探せ!〜こども地下探検隊〜」。丸の内を支える地下プラント施設を探検しました。参加したのは、小学3年生から6年生の10組20人の親子。提供は、安全・安心・快適な街づくりに取り組む丸の内熱供給株式会社です。

参加者たちが集合したのは、大手町にある3×3 Lab Future。はじめに、丸の内エリアで働いている人や会社の数、動くお金の多さ、どんな施設があるのかについて説明します。子どもたちに分かりやすいように具体例やクイズを交えながらの説明に、子どもたちも真剣に耳を傾けます。そして、実際に探検する丸の内地下プラント施設を取り上げた動画を視聴します。

丸の内地下プラントは、大丸有エリアの「地域冷暖房システム」を管理する施設です。地下にあるプラントで冷水や蒸気を製造し、エリア内に張り巡らされているパイプを通して各ビルに届けることで温度管理を行っています。省エネルギー、都市景観の向上、地下空間の有効利用など、多くのメリットを持つことから近年注目されているシステムです。
説明が終わったら、いよいよ出発。まずは丸の内の街歩きをしながら、皇居や平将門の首を供養している将門塚、大手町駅直結の大手町ビルヂングにできた屋上空間などの名所を回りました。

丸の内オアゾに到着したら、関係者以外立ち入り禁止の区域から地下4階へ降りていきます。ヘルメットを被って、いざ探検開始!
「冷凍機(冷水を作る機械)の威力は、家庭用エアコンの約3,000台分、ボイラー機(蒸気を作る機械)はストーブ約4,000台分です」とガイドさん。地下には、色々な機械やスーパーチューブと呼ばれる冷水や蒸気を運ぶ巨大な配管、地上につながるハッチや管制室など普段は見ることができないもので溢れています。子どもたちは熱心に説明を聞きながら、興味深そうに色々な機械や場所を覗き込んでいました。
「テレビ番組で地下プラントの存在を知って、丸の内の地下がどうなっているのか見てみたくて参加しました」と話す参加者。今回のワークショップに参加して、「地下が全部つながっていることや、想像以上に大きな機械や太いパイプがたくさんあることを知ってびっくりした」と話してくれました。別の参加者からは「丸の内のにぎやかな地上とは全然違って、機械ばっかりで驚いた。いつも行けない場所を探検できてワクワクした」「地下に色々な仕組みがあって面白かった!」と予想を超える大規模な地下プラント施設を目の当たりにして驚きの声が上がります。そんな子どもたちの様子を見て、一緒に参加したお母さんも「またこういう機会があったら参加したいです」と話してくれました。

【工作のワークショップ】
3種類のつみ木を使って、自分たちの思いのままに未来都市を積み上げる

8月20日に開催されたのは、「子どもは未来の建築家:つみ木アートアクション」。参加したのは、小学1年生から4年生の親子です。
集合場所は、丸ビルの1階。そこには、旧丸ビルの基礎に使用されていた松杭が飾られています。1920年に起工された旧丸ビルは、日本で初めて建てられた高層ビル。基礎には長さ15m前後・直径約30cmの松杭が5,443本使われていましたが、丸ビルの建て替え時にその松杭たちは役目を終えました。その松杭をつみ木に生まれ変わらせた(Reborn)のが、木楽舎つみ木研究所の「つみ木おじさん」こと荻野雅之さん。ワークショップでは、約100年前の松杭と現代のヒノキから作られた台形、四角、板状の3種類のつみ木を使って、子どもたちの自由な発想で「未来都市」を作りました。

丸ビルの隣にあるHave a Nice TOKYO!に移動して、ワークショップの心構えが話されます。「作っているうちに崩れてしまうことがあるかもしれないけど、崩れないと次の新しいことには進めません」と荻野さん。「たくさん失敗した方が新しい発見があります。未来の街を、1から自分たちのアイデアで作ってください」と続けます。参加者たちに横になってもらって今回のワークショップで使うつみ木・25,000個を参加者の身体にかけていき、全身で木のぬくもりを感じてもらいます。「この小さなつみ木を3つ使って未来の夢を築きます。未来の丸の内の夢を築きます。みなさんは未来の小さな建築家です!」という荻野さんの掛け声とともに、工作が始まりました。

参加者みんなで協力しあいながら街づくりを進めます。「水族館を作れるかな?」と荻野さんが声をあげると「ウナギ作った!」「誰かサメ作れない?」と参加者同士で積極的にコミュニケーションがとられていました。作業に慣れてくると、自分たちでテーマを見つけて集中してつみ木を積み重ねていきます。作っている最中に作品が崩れてしまったときは、荻野さんが「大丈夫だよ。今からまた頑張ってみよう!」と励まします。25,000個あったつみ木も残り少なくなり、参加者同士でつみ木を譲り合いながらラストスパートです。最後に作品をつなげて、一つの街並みに仕上げます。街並みが完成したら、部屋の照明を消して完成した街並みに向けてプロジェクターで丸の内の映像を映し出します。旧丸ビルの写真も映し出され、過去と今、そして未来に向けた街づくりを表現しました。その後、個々のつみ木作品をライトアップ。自分たちで作り上げた作品という達成感も相まって、会場は大盛り上がり。幻想的な光景と参加者の頑張りに拍手や歓声が起こりました。

ワークショップを終えた子どもたちからは、「将来建築家になりたくて参加しました。すごく楽しかったです」「高く積み上げるのが難しかったけど、面白かった」とポジティブな感想が聞こえてきます。また、一緒に参加したお母さん、お父さんも、「想像よりも集中して取り組んでいました」「自分たちの作品と他の参加者の作品をつなげることで1つの街となり、広がりを感じられて楽しめました」「これからも継続してこういったワークショップに参加したいです」と話してくれました。親子一緒に楽しい時間を過ごせた、大満足のワークショップとなりました。

大丸有エリアだから出会える人や物事をテーマに、これからもエコキッズ探検隊は子どもたちへ学びの場を提供していきます。

エコキッズ探検隊
https://ecokids.tokyo/

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