リガーレ総会開催。2020年度はコロナの時代の都市のあり方を探求

6月23日、丸の内二重橋ビルのDMO 東京丸の内にて、2020年度リガーレ総会が開催されました。新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)の流行状況を鑑み、3密を避ける配慮のもと、会場キャパ80名のところ半数以下の30名あまりの出席者で実施。広めに設定されたスペースに着座しての開催となりました。2019年度の活動を振り返るとともに、2020年度の活動方針を発表し、アフター/ウィズコロナの、都市のマネジメントのあり方を検討しました。

▼2019年度の振り返り

事務局長・藤井は2019年度を振り返り、年度末のイベントが数件中止になるなどコロナの影響があったとはいえ、「概ね掲げた通りの成果を上げることができたと言える」と総括しています。

活動実績の概要は以下の通りです。
(1) 賑わいづくり

①公的空間活用……行幸通り:8イベント70日・丸の内仲通り:43イベント89日
②公開空地の活用……しゃれ街条例公開空地等活用団体登録、公開空地等活用対象14街区。
③エリアマネジメント広告……バナーフラッグ、シャトルバス等、全15件・売上3,100万円

(2) エリア内交流促進

・丸の内軟式野球大会、大手町・丸の内・有楽町夏祭りなどを開催。

(3)広報

・パンフレット改訂
・ホームページ改修
・イベント動画作成 等

(3)DMO東京丸の内

・MICEへの問い合わせへの対応……108件問い合わせ、15件成約(うち4件がコロナのため中止・延期)
・MICE開催への協力……「FIN/SUM2019」「i-都市交流会議2020」
・海外商談への参加(4件) 等

(3)全国エリアマネジメントネットワーク

・「ワールドタウンリーダーシップサミットin東京」等、シンポジウムイベント6件を開催、事務局運営


2019年度Marunouchi Street Parkの様子

これら活動のなか、いくつかの項目で、特記すべき実績を残すことができました。

「賑わいづくり」では、「Marunouchi Street Park(MSP)」「ラグビー日本代表ONE TEAMパレード」の2点。MSPは約100時間(5日間)に渡り、丸の内仲通りに天然芝を敷いて公園を創出する取り組みで、同時期の国際会議に合わせて実施しましたが、一般歩行者からも好感触を得られ、2020年度も継続して行う予定です。都市の公共空間、道路利用の新たなあり方を示唆するものと期待され、注目度も高くなっています。


事務局次長・大林

ラグビー日本代表を迎えるパレードは、急遽決定したものの5万人を越える観客集まる一大イベントに。終了後にゴミひとつ落ちていないという状態で、「警察とは急遽調整し、事故が起こることを懸念していたが、想定以上に安心安全に開催できて、警察としても今後の丸の内でのイベント開催に非常に前向きに可能性を感じてくれた」(リガーレ事務局次長・大林悟郎)としています。

「DMO東京丸の内」では、9月の国際会議「FIN/SUM 2019」に協力。イベントでクーポンブック、エコバックを配布したほか、アフターパーティーへの協力、終了後には南房総へのエクスカーションを実施。「大丸有でのMICE開催のバリューを高めることができた」(同)とし、今後のMICE誘致に向けた好材料となりました。

ほか、2019年11月に、千代田区から「都市再生推進法人」の認定を受けたことも、大きな成果です。「これまでも仲通りの運営などをやっているが、なぜやるのか、基本的な法的・制度的根拠を得たことになり、公的な立場で活動をしていくことができるようになった」と事務局長・藤井宏章は話しています。

▼2020年の活動に向けて


事務局長・藤井

2020年度の活動方針を発表するに当たり、藤井は現況の認識と課題について、次のように述べています。

「コロナ感染の拡大によって、ビジネスセンターである大丸有地区もほとんど人がいなくなり、本当に閑散とした状態になった。6月以降、徐々に行動規制も緩和され、人も戻りつつあるが、ワクチンが開発されるなど完全に“終息”するまでは、感染リスクを回避するよう警戒しながら、活動を再開していかねばならないと思う」

短期的には、3密を避け、感染リスクを低減するよう配慮するといった形で、アーバンテラス等の活動を再開することを検討しています。その一方、中長期的には都市の変化、価値観の変化にも即して行かなければならないとしています。

「コロナによって、人々の働き方、生き方、価値観はもとより、住むところ・働くところの関係といった都市構造のあり方も大きく変わる変化の時だと思われる。その時代における、大丸有という街のあり方、コミュニティのあり方、そして我々エリアマネジメント団体の役割を、改めて考え直し、活動を推進していく必要があるだろう」(藤井)

こうした認識を踏まえ、今年度のキーワードのひとつとなるのが「屋外空間の利用」です。「もともと、車中心から人中心のまちに変えようというコンセプトで仲通りの活動を推進してきたが、コロナでさらに加速する」と藤井。

アーバンテラスの再開(7月6日~)を皮切りに、7月中にはMarunouchi Street Park(MSP)を設置したい考えです。MSPは3ブロックで実施し、隣で展開するアーバンテラスに接続する1ブロック、昨年同様天然芝を敷いた「Cozy Green Park」の1ブロックに加え、新たに“屋外オフィス”である「Open Air Office」を設置します。Wi-Fiや電源を整備し、パラソル、デスクを用意。ワーカーが屋外のオープンスペースで仕事をする、新たなワークプレイスの実験の場となります。

「昨年のMSPはおまつり的イベントだったが、今年は『場所の設定』という位置づけ。建物の“密”を、外に出すことで“疎”にするのが狙い。コロナの時代だからできる社会実験になる」(大林)

設置期間は7月27日~9月6日の予定。期間中はセンサーを設置し、行動分析・密度分析なども行い、期間中の人口密度マップの表示や、ニューノーマルの中の行動解析等に役立てていきたいとしています。

もうひとつのキーワードは「愛着心」。約28万人の就業者が、これまで同様に来街することがなくなるとしたら、まちへの帰属意識、ホーム感、愛着心が薄くなるのではないか。「仕事以外でも関わりを持って、幸せや充足感を持ってもらうようにしたい、そのためのコミュニティを作りたい。それには、まちの側から、何かを語りかけることが大事なのではないか」と藤井。そこで、7月から徐々に戻ってきている就業者や来街者、医療関係従事者をはじめとしたエッセンシャルワーカーに向けてフラッグでメッセージを伝える「Welcome Back Flag Project」を実施。「For Tomorrow」「Walk Toogeter」と記したフラッグを街に掲出し、「困難な状況下ですが、一歩一歩ゆっくりと共に歩んでいきましょう」とメッセージを伝え、リガーレの存在感をアピールしていきます。

このほか、エコキッズ探検隊、大丸有夏祭りの活動予定なども発表。いずれもコロナの感染リスクを避ける手法で取り組むことが紹介されました。また、DMO東京丸の内は、海外からの人の動きが止まるため、オンライン等ソフト的な活動を中心にする予定ですが、大丸有内の企業内でグローバルミーティングが増えていることを受けて、この支援に取り組むといった方針も発表されました。

▼会員企業活動紹介

事務局からの活動報告、活動方針発表のあと、会員企業からの活動紹介として、日建設計総合研究所の安藤章さまに「日建設計総合研究所が取り組むスマートシティ・プロジェクトのご紹介」をご講演いただきました。


安藤さまのご講演の様子

今年度の総会は、コロナで活動を自粛するのではなく、コロナでもなすべき活動を自ら探し、新たな領域を開拓していくという姿勢が示されていました。これまでにない変化が問われるいま、これからの活動にもご期待ください。

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