五感を使って暖まる
冬ならでの心地よさを追求した「Marunouchi Street Park 2021 Winter」

2021年12月2日(木)から12月25日(日)までの期間、「すごそう、冬のストリート」をテーマに「Marunouchi Street Park 2021 Winter」を実施しました。
春、夏と続いて今年度3回目の実施となりましたが、これまでの「Marunouchi Street Park」でも冬の実施は初の試み。丸の内仲通りの冬の風物詩であるイルミネーションが広がる中、どのような形で暖を取り、外で過ごすことができるかを検証すべく、寒さを考慮した冬ならではの空間を展開しました。

(1)Wonder Dining! エリア

丸ビルと三菱商事ビル・郵船ビル前のブロックは、体の芯から暖まる食事やドリンクとともにプライベートなひと時を楽しめる空間に。
大丸有エリアを代表するホテル「ザ・ペニンシュラ東京」や「東京ステーションホテル」などによるキッチンカーが出店し、その横には半透明のグラスハウスが並びます。中にはシャンデリアが飾られ、外から見ても幻想的。利用者は後を絶たず、イルミネーションの暖かな灯りの下でゆったりと食事を楽しまれていました。

さらに人気だったのが、ツリー型ハンモックの「鳥の巣ツリーハウス」。通常のハンモックとは異なり2人で入ることができ、周りも囲われているため、ゆったり揺られながら会話に花を咲かせていました。
通りの真ん中に置かれた存在感のある「ビッグチェス」は、身体と頭を動かして暖まることができるだけでなく、フォトスポットとしても楽しまれていました 。

(2) Wonder Lounge! エリア

丸の内二丁目ビルと丸の内仲通りビル前のブロックに設けられたスペースでは、音楽やアート、ストリートパフォーマンス、ワークショップなどのアクティビティを展開しました。 冬ならではの光景として際立っていたのは、火を囲んで暖を取ることができる「ファイヤーピット」。ゆらゆら揺れる火につられ手を伸ばす方が集まっていました。
また、ホリデーシーズンらしくポストカードを贈ることができる「炎のポスト」やコートを着たまま気軽に楽しめる「ビリヤードストリート」を設置。

おなじみのストリートピアノはイルミネーションに映える真っ白なものに。来街者が代わる代わる音楽を奏で、演奏が終わるたびに拍手がわき、暖かな空気に包まれました。
さらに2階建てのインフォメーションセンターでは、クリスマスカードや障害のある方によるプロダクトの販売の他、階段を上がった2階エリアはイルミネーションをより近くに感じられる仕様に。
また、ストリートピアノのステージ台やインフォメーションセンター内のカウンターは、いずれも「Marunouchi Street Park 2021 Summer」で、アート制作に使用された木材を再利用し、サステナビリティMarunouchi Street Parkならではの空間となりました。

(3) Wonder Terrace! エリア

丸の内パークビルと明治安田生命ビル前のブロックは、イルミネーションをより楽しめるフォトスポットとして、小岩井農場(岩手県)のウラジロモミを使用したクリスマスツリーやミラーを敷き詰めた「光の回廊」、色が変わる幻想的な疑似炎のテラス×ラウンジの「ファイヤーテラス」を設置しました。

暖炉を囲んだり、光の回廊を歩きながら、さまざまなイルミネーションの風景を写真に収めていました。
さらにこのブロックでは、通りにおけるプロモーションスペースとしての可能性や課題を検証するためのスペースも設け、三菱自動車の新型アウトランダーがクリスマス仕様で展示されました。

こうしたアイテムの他に、期間中は訪れる方が季節を感じ・つながり・すごせる、“人”中心の道路を目指して、心も身体も暖まるプログラムを多数企画。
丸の内パークビル内に店舗を構えるHanahiro(花弘)さんによるクリスマス・リース・ワークショップや大道芸人・マジシャンがMSP内に突然現れるような仕掛けも実施しました。また、障碍者雇用を支援するテナントなどと手を組み、目の不自由な方でも対話を通してMSPやイルミネーションを楽しんでいただける「MSP Illumination Tour!」を行い、本当の意味で誰もが居心地よい空間体験をできる場所となりました。

当協会事務局の田辺紀人と中嶋美年子は、本社会実験における注力ポイントや、今後の可能性について語りました。

「今年は春・夏・冬と季節ごとに検証してきましたが、冬は気候からして春や夏とは大きく異なる季節です。人通りが少なくなる時期における広場空間として、寒い中でも心地よく過ごせるには何があるとよいのか、冬ならではの楽しみを感じてもらうにはどういったコミュニケーションを取るとよいのかといった発想で、企画を検討していきました。

冬の検証要素としては、暖炉と仮設建築物を設置することです。暖炉については、火を置くということ自体仲通り始まって以来の試みで、道路管理者である行政含めて安全性をどう担保するか、大きな挑戦となりました。また、ただ火を置くだけでなく、どの程度だと暖まるのか、どの程度の大きさだと満足してもらえるのかといった点も検証の対象になっています。
仮設建築物はインフォメーションセンターとして設置しましたが、これは将来仲通りの広場化を見据えた際に建築物が必要になると考え、その検証として実施しました。また、イルミネーションが施されていることもあり、2階に上がってより近くで楽しんでいただきたいという思いも込めています。これまでのMarunouchi Street Parkは、道路空間に芝を敷いたり、何かを置くといった使い方でしたが、立体的に使うという新たな提案になりました。

Marunouchi Street Parkとして冬は初めての開催なので、検証要素が多く盛り込まれていますが、それぞれ実際の効果や評価を振り返りながら、将来への礎にしていきたいです」(田辺)

「火や仮設建築物は、いくら安全性の追求を重ねても、やはり関係者の協力を得ることができなければ実現も困難です。ですが、千代田区や警察、地権者の方などとはこれまでも実施に向けて調整を重ねてきて、取り組み自体に理解いただいているので、どのようにしたら実現できるかといった視点で進めることができました。将来の仲通りのあり方を検証するというMarunouchi Street Parkの意義が、関係者の中でも大きくなっていると感じます。

これまでの取り組みはイベント的な要素もあったので、今後は検証結果を踏まえて日常における通りのあり方も検証していきたいです」(中嶋)

Marunouchi Street Park初の冬の開催は、気候的なハードルが大きい中、また新たな仲通りの可能性を広げる機会となりました。
春・夏・冬と、さまざまな仮説のもと多様なアプローチを展開してきた2021年。憩いの場として、ワークスペースとして、遊び場として、あらゆる人々が集まる広場とはどうあるべきか検証を重ね、人の反応や行動の変化などがデータとして蓄積されてきました。
今後はこうした布石をもとに、ハレとケ双方から道路空間のあり方を検討していきます。これからの仲通りにぜひご期待ください。

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