アップサイクルブランド『リガレッタ』
“まちを纏う”をテーマに第2回展示販売会開催

大丸有エリアの地域資源を活用しながら、“賑わいの創出” “環境改善” “コミュニティの形成”をテーマにさまざまな活動を推進しているリガーレが、2023年1月に立ち上げたアップサイクルブランド『リガレッタ』。8月に行われた第1回販売会では、丸の内仲通りに掲出されたバナーフラッグを、知的財産権など権利の壁を克服するため“シークレット地紋”を施した生地で作られた洋服と小物を販売。そのユニークな取り組みは反響も大きく、幅広い層への認知に繋がりました。

期待が高まる12月の第2回展示販売会では、新しい商品ラインナップが加わるほか、ブランドにまつわるストーリーを分かりやすく解説・発信していく展示も開催。その内容や手応えなどを、リガレッタを企画した リガーレ事務局の長谷川春奈と小野田健太に話を聞きました。

写真左:小野田健太 写真右:長谷川春奈
NPO法人大丸有エリアマネジメント協会(リガーレ)

———–まちにある未活用の素材を使い、物語をつなぎ、循環させる。
「まちを纏う」をテーマにした第2回展示販売会。新作ラインナップで注目すべきところを教えてください。

長谷川:今回は、ありがたいことに某ブランドからご賛同いただき、丸の内仲通りに掲出されたブランドのフラッグを使用しました。これまでの幾何学模様を基本とした地紋のコートやスカートに加え、千鳥格子を施した名刺入れ、ミニトートバッグやスニーカー、キャップが新たに登場しています。千鳥格子は、自然モチーフを得意とするブランドからの想起し、和柄、丸の内仲通りの木々に隠れる小鳥のイメージから採用したのですが、冬のムードと相まって好評をいただいております。

長谷川:千鳥格子のシックなモノトーンにバナーフラッグの元生地であるブルーやピンク、グリーンなどのカラーがアクセントになっており、「色合いがかわいい!」「人とかぶらないしカッコイイ」という嬉しいお声も多数いただきました。とくにスニーカーは手に取ってくださる方が多いですね。


スニーカー(千鳥格子):44,000円(受注販売)
※blueベース/pinkベース/色味おまかせから選択
ミニトートバッグ(千鳥格子):42,900円(受注販売)
キャップ(千鳥格子) :18,700円(受注販売)

小野田:スニーカーは、大阪のスニーカーブランドさんに製作していただいたのですが、スニーカーでは珍しいオールソール交換をはじめ、パーツごとにリペアできるようになっています。サステナブルな観点に共感しており、今後もそういったブランドと取り組んで行けたらと考えています。

そもそもリガーレが立ち上がったのは、バナーフラッグが掲出期間を終え廃棄されるのがもったいない、この素敵なデザインや素材を有効活用できる方法はないかとスタッフ内で思案したことがきっかけでした。そして、さまざまな方たちが私たちの想いに共感してくださり、やりとりを重ねた末に誕生しました。もともと廃棄するはずだったフラッグだからと低品質・簡易なアイテムを作成妥協するのではなく、サステナブルの観点で長く愛せる高品質な提案を目指しています。

———–『リガレッタ』に込めたそんな想いや、
商品が誕生するまでの流れなどを紹介する24枚のパネル展示も見どころですよね。

長谷川:前回は4枚だったパネルを24枚にして、会場内の商品がどのような仕組みやプロセスを経て販売まで至ったのか、図やイラストを用いたインフォグラフィックで分かりやすく作成しました。コンセプトや目指す未来などリガレッタの真意をしっかり伝えていくことを大事にしたいなと考えています。

「まち」というコミュニティ起点のアップサイクルブランドの概念や素材循環の仕組み、「都市型のサーキュラー」についてなど解説しています。大丸有エリアで廃棄されゆくバナーフラッグやイベント什器など、まちの物語が染み込んだ素材を活用して商品を作り、まちで販売し循環させていく。「まちを循環する。物語をつなぐ」ブランドであること。また、リガレッタを通じたまちづくり、コミュニティ形成など、今後の展開についても発信しています。

小野田:“アップサイクル”や“サーキュラーエコノミー”という言葉に馴染みのない方にも分かりやすいように、商品ができあがる流れとして、「デザイナーが設計」「フラッグを洗浄」「シークレット地紋を施す」「職人が縫製」、という工程を具体的に説明しています。また、リガレッタの特徴のひとつである“端切れロスの削減”のパネルでは、一般的なブランドでは30%を切れば優秀と言われているロスを、リガレッタでは設計の工夫によりから10%以下に抑えていることを対比で示しました。行程や設計の工夫もお伝えすることでブランドへの理解をより一層深めていただけるのではないかと期待しています。

長谷川:このパネルを作っていて私自身が勉強になったのが、市場に流通する製品がもたらす環境負荷のうち、80%以上はデザインの段階で決定されるということで、リガレッタにおいてはアップサイクルをしようと決めたところも80%に入るということです。リガレッタはその仕組みをデザインする、言わばサーキュラーデザインを提案するブランドです。リガレッタの目指す循環のかたちと併せ、サーキュラーエコノミーについて身近に考えることが出来たというお声も頂きました。

そんな中でリガレッタ特有のものは何か?と考えた時に「都市型サーキュラー」だと思いました。このワードはリガレッタチームで作った造語なのですが、都市だからこそできること、それこそ広告は都市だからこそ成り立つものなので、「都市型サーキュラーといえばリガレッタだね」と言われることを目標にしています。

———–第2回展示販売会でのお客さまの反響はいかがでしたか?

長谷川:商品を手に取ってもらい「素敵ですね」と言っていただける、パネルを見て「なるほど」と共感していただける、リアルな反応をとても嬉しく思っています。今日着ているコートは私物なのですが、着心地や防寒性を聞いてくださる方もいらっしゃいます。また、「これってあの時のフラッグですよね」と声をかけてくださる方や丸の内で働いている方も多く、まちに根付いている方々やリガーレチームの友人など半径3メートルの方から広まっていくんだなと実感しています。

小野田:向こうのブースで売っている名刺入れなども一点一点プリントが違うので、唯一無二の商品を選んでるうちに愛着が湧かれる方が多い印象です。ただ、「情報が少なく謎めいています」という声もあり、webサイトやSNSなどでどうやって広めていくかを今後の課題としています。ターゲット層も明確に絞っていないので、皆さんにご意見をいただきながら進めている感じです。

パネルではアンケートも作っており、なかでも興味深かったのが「アップサイクルブランドの商品を購入したことがありますか?」という質問に、大半の方が丸をつけていたこと。丸の内という地域性もあるかもしれませんが、今後の取り組みのベースにさせていただけたらと思っています。

———–ブランド誕生から1年を迎え、少しずつでも着実に成長している
『リガレッタ』。今後の展望についてお聞かせください。

小野田:丸の内仲通り街路に咲くお花をフレグランスにしたり、木の什器を繊維にしてサマーニットにしたり、企画は多数上がっています。また、光栄なことに全国からアップサイクルの仕組みなどについてお問い合わせを頂くことも増えてきたので、将来的にはオンライン勉強会なども検討しています。

長谷川:DCブランドではなく、まち起点のブランドは世界から見ても珍しいと思います。ですので、それを個性に「まちの特性」「まちの課題」というものに向き合って展開していけたらと思います。ブランドが誕生して1年が経ちましたが、私たちも日々学びながら取り組んでいます。これからも一歩ずつできることを精一杯にやっていきたいです。そしてリガレッタが、まちを訪れ・丸の内のファンになるきっかけになれば、何より嬉しく思います。

 

Writer:吉岡美奈

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