野球でつながった一日 ――丸の内野球大会決勝・エコキッズ野球教室

7月に開幕、熱戦が続いた丸の内野球大会も、9月4日の決勝戦でトーマツが栄冠に輝き、閉幕を迎えました。

2022年度の第76回丸の内野球大会は、45チームがエントリーし7月17日に開幕。コロナ禍での開催のため、消毒や密の回避など、安全対策を徹底したうえでの実施で、各チームからは「不安に思うことなく試合に臨めた」という声も。雨天順延などもなく全試合が予定通りに開催され、選手の皆さんに余計な負担を掛けることなく進めることができました。

9月4日の決勝戦は、ともに厳しいトーナメントを勝ち上がったトーマツと三菱地所の対戦。

トーマツは初回、三菱地所の投手の立ち上がりを捕まえ、いきなり4点を叩き出します。これに慌てたのか、三菱地所は初球打ち、悪球打ちが目立ち、打線をつなげることができません。クサいところを突く軟投派のトーマツ先発投手に強力打線の沈黙が続きます。トーマツはさらに4、5回にエラーに絡む長打で各1点を追加し、三菱地所を突き放します。

三菱地所の反撃は6回から。初球を叩くランニングホームランで1点を挙げたあと、7回にはようやく腰の座った打撃が見られるようになり、連続ヒットでさらに1点を返しましたが、追撃もそこまで。6対2のスコアで、トーマツが快勝しました。

試合終了後の閉会式では、挨拶に立った毎日新聞社 カスタマーリレーション本部 本部長 千代﨑聖史氏、キリンビバレッジ株式会社 首都圏統括本部営業支社法人営業部 担当部長 大川真吾氏が、決勝の熱戦を称賛、トーマツの守備力・投手力、三菱地所の粘りと活気を褒め称え、来年の熱戦への期待を述べています。

見事栄冠に輝いたトーマツの古川淳監督は、次のように喜びを語っています。

「決勝は三菱地所の投手の調子が上がる前に点を取れたことが良かった。私たちは決して強いチームではありませんが、優勝という目標に向かって一丸となって取り組んだ結果だと思います。スケジュールをやりくりし、練習、試合に臨んでくれたメンバーみんなには感謝しかありません。本当にうれしいです」

また、コロナ対策を徹底した大会運営に謝意を述べるとともに、「コロナ禍で改めて、皆でスポーツをやる楽しさを実感した」と話し、今後も丸の内野球大会をスポーツ、野球を楽しむ場として発展していってほしいと期待を語りました。

準優勝の三菱地所の選手、内山賢太郎さん(7番ライト)は、決勝ではチーム皆が硬くなってしまい、いつもどおりの打線とならなかったと反省しましたが、

「大会を通して、声を出していこう、楽しもう、ミスがあってもくよくよしないということを第一にしてきました。自分自身、率先して取り組むことができて、楽しい大会にすることができました。来年も体調管理を大事にして、楽しく試合できることを心がけたいです」

と来年への意欲を話しています。

日本未来スポーツ振興協会とのエキシビジョンマッチ

甲子園歴代最高セカンドと称される町田選手

決勝戦、閉会式のあとは、一般社団法人日本未来スポーツ振興協会のドリームチームと、丸の内野球大会選抜メンバーによるエキシビジョンマッチが行われました。

日本未来スポーツ振興協会は、家庭の環境、経済的な理由などにより、スポーツに取り組むことが難しい子どもたちのために、スポーツをはじめるきっかけづくりや、サポート、用具提供などに取り組む団体です。キャッチフレーズは「人生にスポーツを」。かねてリガーレとの協業を模索してきており、今年の「エコキッズ探検隊」のプログラムのひとつとして実施されることが決定。これを受けて、丸の内野球選抜とのエキシビジョンマッチが実現しました。

ドリームチームは甲子園やアマチュアで活躍した有名選手が中心。特によく知られているのは、2007年選抜で優勝、2008年夏大会で準優勝した常葉大学附属菊川高校(静岡)で活躍した町田友潤さん。甲子園の歴代最高のセカンドと称される名セカンドです。このほか、全員が協会の活動に賛同・参加している皆さんで、この日のために全国から集まってくれました。ナイター観戦で観客が神宮球場に集まってくる時間帯でしたが、「おっ、あの選手は……」と足を止める人がちらほら見られたことでも知名度のほどが伺えます。

試合は4回までで終始ドリームチームが圧倒する試合展開となりました。得点こそ3、4回のみでしたが、出塁は毎回。スイングひとつとっても打つというオーラ、雰囲気がビンビンと伝わってきて、強いプレッシャーを掛けていました。

一方の丸の内選抜は先発の上野悠史投手(元東芝)に手も足も出ない状況で、「いやもう、レベルが違う……」と絶句する選手も。傍で見ていても、同じボールを投げているとは思えないようなスピードと質量感。丸の内選抜のある選手は「プロに近い選手のレベルを実感した」と話しており、質の高い交流ができたようです。試合結果は3対0でした。

ドリームチームと丸の内選抜の選手一同

スポーツの楽しみを知るエコキッズ

キャッチング指導で、「傘を持つようにリラックス」「取りにいかない、迎えるように」とアドバイスする町田選手

エコキッズでは、そのドリームチームのメンバーが指導にあたってくれました。参加したのは30組60名の親子。下は小学校に上がる前のお子さんから、上は小学校6年生まで、幅広い年齢層でしたが、全員が楽しみながら、野球の技術を磨くことができるプログラムです。

野球で使う肩や肘、股関節などを中心とした準備体操、キャッチング指導+キャッチボールを全員で行ったあと、ストラックアウト、ホームランチャレンジ(ティーバッティング)、親子キャッチボール(キレダス)を順番に回ってスタンプをもらうメインプログラムを実施。

年齢の幅が広いこともあり、レベルの幅は一様ではありません。しかし、まだボールを投げるのも難しい子には、基本的なボールの握り方や投げ方を教え、かなり良い投球ができる子にはさらに安定した投球ができるよう、フォームの指導を行うなど、無理なく子どもに合わせた指導を行っていたことが印象的でした。いつも声を出して子どもたちを盛り上げ、ミスを責めるのではく、良いプレーを引き出すよう励ます姿からも、楽しむというスポーツの本質を教えようとしている姿勢が伺えました。


プログラムの途中で、野球を辞めてしまったという小学5年生の子どもに話しかける町田選手の言葉を耳にしました。

「野球なんて失敗のスポーツなんだよ。だって10回のうち、3回打てればいいんだから。7回は失敗してもいいってこと。だから余裕を持って、失敗なんて気にせず楽しめばいいんだよ」

幅広い年齢層が集まって行うエコキッズのような取り組みは、「思わぬ効果がある」と日本未来スポーツ協会副理事、統括事務局長の古財聖功さんは話します。

「小さい子も大きい子もいて、できる子もできない子も混じっていると、自然とお互いに励まし合い、認め合うことができるようになりますね。スポーツの楽しみ方を知るには、とても良い環境だと思います」

メインプログラムのあとは、3つのボジションに分かれてのシートノックを全員で行い、終了となりました。子どもたちも(もちろん親御さんたちも)皆ひと汗かいたことに満足げで、明るい表情でした。

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