大手町・丸の内・有楽町エリアを舞台に、未来を担う子どもたちが楽しみながら学べる「大丸有エコキッズ探検隊」。「親が働く街を、子どもが学ぶ場に」をテーマに、多彩なプログラムを提供するこの取り組みは、今回で21年目を迎えました。2026年度も、大丸有エリアの企業や団体の協力のもと、計13のプログラムが実施されました。
今回レポートするのは、食のワークショップ「目指せ!リトルシェフ 中村シェフと学ぶクッキングスクール ~親子で作る夏焼売~」です。本格四川料理店「四川豆花飯荘 東京店」の料理長である中村一人シェフの指導のもと、旬の食材を使った焼売づくりに挑戦しました。

会場となった新丸の内ビルディング内にある「四川豆花飯荘 東京店」には、定員である10組20名の親子が集まりました。ワークショップは、主催者である大丸有エリアマネジメント協会(リガーレ大丸有)のスタッフによる、大丸有エリアやエコキッズ探検隊の歴史の紹介からスタート。
続くアイスブレイクでは、リガーレ大丸有の公式マスコット「マルケン」や新丸の内ビルディングにまつわるクイズが出題され、会場内は一気に和やかな雰囲気に包まれます。

アイスブレイクを終えると、いよいよ本日の講師を務める中村一人シェフが登場。中村シェフは挨拶に続いて、本ワークショップに込めた想いを語りました。
「昨年までこのワークショップでは餃子を作っていただいておりましたが、今年はより簡単な焼売作りにチャレンジします。自分で作ったものを自分で食べることで料理が身につきやすくなりますし、家族に振る舞うことはすごく嬉しいものです。今日の体験を通して、料理の喜びを味わってもらいたいと思います」
また、エコキッズ探検隊のテーマにちなんだ、フードロスの工夫についても解説がありました。一般的な焼売の皮は正方形ですが、今回は包みやすくするために皮の四隅を切り落として丸く整えます。中村シェフは、切り落とした皮を捨てずに油で揚げ、今日のランチで提供するコーンスープにクルトン代わりに入れるというアイデアを紹介しました。食材を無駄なくおいしく使うプロの知恵に、参加した保護者は感心した様子でした。
手洗いや消毒を済ませた子どもたちは、いよいよ調理に取り掛かります。今回作る焼売のテーマは「夏」です。旬の食材を楽しむため、とうもろこしと枝豆を入れます。

手順やポイント、注意点を説明した上で調理が始まり、中村シェフからは、家庭でも美味しく作るためのプロの秘訣が次々と伝授されました。
「お肉はボウルの周りに白い脂がくっついて、お肉全体が白っぽくなるまでギュッギュッとしっかり握りつぶすように練ってください」という指示に従い、子どもたちは小さな手で肉をこねていきます。また、野菜にあらかじめ片栗粉をまぶしておく理由について、野菜の水分が外に出てしまうのを防ぎ、肉との一体感を出すためと説明。これには保護者の方々も納得の様子でした。

皮で包む工程では、子どもたちが中村シェフの周りに集まり、プロの技を間近で見学します。中村シェフは「私たちは焼売を『包む』ではなく『握る』と言います。指で筒状の形を作り、そこにヘラでお肉を詰めて上から押してあげます。底を平らにするときれいに立ちますよ」と丁寧に解説。中村シェフの手元を真剣な眼差しで見つめていた子どもたちは、自分の席に戻ると慣れないながらも一生懸命に、自分の手の大きさに合わせた焼売を、一つひとつ丁寧に作り上げていきました。


包み終えた焼売が厨房へと運ばれ、蒸し上がりを待つ間はお楽しみのランチタイムです。食事の始まりには、四川豆花飯荘の名物である茶芸師による中国茶のパフォーマンスが披露されました。長嘴壺(ちょうしこ)と呼ばれる注ぎ口が特徴的な茶器を自在に操り、アクロバティックな動きとともに高い位置から湯を注ぎ入れる様子に、子どもだけでなく大人からも歓声と大きな拍手が上がります。

宙を舞うように器へと注がれるお湯が茶葉をくるくると踊らせる様子を、参加者は写真や動画を撮影しながら見守ります。茶芸のパフォーマンスが終わると、蒸し上がった熱々の焼売がテーブルに運ばれてきました。自分で作った焼売の味は格別のようで、みんなおいしそうに、そして楽しそうに頬張っていました。
中には、普段はとうもろこしや枝豆が苦手だという子どももいましたが、「自分で作った焼売だからおいしく食べられた」と話し、その様子を見た中村シェフも嬉しそうな表情を浮かべていました。

焼売のほかには、エビマヨ、酢豚、チャーハン、切り落とした焼売の皮の端を揚げてクルトン代わりにしたコーンスープが並び、お腹も心も満たされるランチタイムとなりました。

ランチを終えると、質疑応答タイムが設けられました。参加者からは「なぜ料理人になったのですか?」という質問があり、中村シェフは高校時代のアルバイトをきっかけに中国料理の魅力に出会い、専門学校を経てプロの世界に入った経緯を語りました。
また、家庭料理に関する疑問も寄せられました。例えば「炒め物の玉ねぎをシャキシャキにするコツ」を聞かれたシェフは、炒める前に電子レンジで軽く加熱しておき、調味料は工程の最後に絡めるのがポイントだと具体的にアドバイスをしました。料理をおいしく作る一番のコツについては、旬の食材を使うこと、そして味付けは引き算ができないため、しっかり味見をしながら少しずつ調味料を足していくことが大切だと伝えました。

イベントの締めくくりには、頑張った子どもたち一人ひとりに中村シェフから修了証が授与されました。「あなたを四川豆花飯荘のリトルシェフとして修了したことを証します」と書かれた修了証を手にした子どもたちは、少し恥ずかしそうにしながらも、どこか誇らしげな表情を見せていました。

最後は中村シェフを囲んで全員で記念撮影を行い、温かな雰囲気に包まれたワークショップは幕を閉じました。
ワークショップを終えて、中村シェフは「これまで大人の方に教えることはありましたが、子どもたちと一緒に料理を作る経験はなかなかありませんでした。低学年の子どもでもしっかりと完成まで経験し、料理の楽しさを知ってもらうために焼売をテーマにしましたが、楽しそうに取り組んでくれて私も嬉しかったです。」と振り返りました。
また、保護者からは、
「自分一人では焼売を作ってみようという気にはならなかったと思うので、子どもと一緒に楽しく作る貴重な機会になりました」
「焼売以外のお料理も大満足でした。作り方を忘れないうちに、家族でまた焼売づくりにチャレンジしてみたいと思います」
「普段シェフと話す機会はなかなかないので、質問できたことは親である自分にとってもいい経験になりました」
といったコメントが聞かれました。
一方、子どもたちからも、
「はじめのうちは皮でお肉を包むことが難しかったけど、だんだん慣れていき、コツを掴むことができて楽しかった」「お茶を入れるパフォーマンスがすごくて、見れてよかった」
「自分で作った焼売は、いつも食べている焼売よりも美味しく感じられた。今日の体験を通して、料理を作る大変さがわかった」
といった声が上がり、夏休みに貴重な経験ができたことがうかがえました。
自分で作った料理を味わい、プロの技や環境への配慮に触れた今回の体験は、子どもたちにとって料理の楽しさを知り、食への感謝を深める貴重な一日となりました。

エコキッズ探検隊
https://ecokids.tokyo/
Photo & Writer:Tomoya Kuga