第78回 丸の内軟式野球大会、JALが圧勝で栄冠を奪取

実施日:2024年9月1日

今年も熱戦が繰り広げられた丸の内軟式野球大会の決勝戦が9月1日、神宮外苑軟式グラウンドで開催され、JAL(日本航空)が栄冠に輝きました。

7月14日の開幕は雨天中止となりましたが、以降、なんとか日程をこなしてきた今大会ですが、最終日9月1日も台風10号の影響でギリギリまで開催が危ぶまれる中での試合となりました。

一方の山を勝ち上がってきたのはアズビル。昨年まで1回戦敗退が続き、大会前には「初戦突破が目標」としてきましたが、まさかの決勝進出。「新規加入の投手にやられた」とは敗戦チームから聞こえてきたもっぱらの噂です。初戦の対日鉄鉱業は16対0の大量得点、2回戦からは接戦を制しての進出です。もう一方のJALは初戦・三菱HCキャピタル戦を7対1で退けた後も、2回戦・11対0、3回戦・5対0、4回戦・9対5、準決勝・11対4と、相手チームを力でねじ伏せてきました。JALは24年前の第54回大会から第57回まで4連覇した“名門”。今年の活躍はまさに「名門復活」で、試合前からJAL有利の下馬評が多く聞かれました。

試合は9時プレイボール。幸い雨は降らなかったものの、気温は28度・湿度81%で、試合前から選手は汗だく。厳しい環境でのゲームとなりました。

ゲームは、後攻のJALが1回からランニングホームランで得点を挙げたあと、終始押すワンサイドゲームといった様相でした。アズビル側の守備のミスを見逃さず、畳み込んでいく攻撃も奏効。アズビルの投手も力投を見せますが、JAL打者は甘い玉を見逃すことなくタイムリーにヒットを出していきます。2回は0点に押さえたが打者一巡してからはJAL打線に捕まり、4回に一挙4点を奪われ、大勢は決した感となりました。

JALは攻撃だけでなく守備もハイレベル。投手のレベルも高く、一番手は速球と切れのあるカーブを武器にアズビル打線をシャットアウト。出塁があっても後が続きません。4回裏に交代した二番手がまた低めをつく丁寧な投球を見せ、アズビルとしてはなすすべもなく最終回まで抑え込まれてしまったかたちとなりました。しかし、最終回にはエラー絡みで3塁まで進んだランナーをポテンヒットでホームに返し、意地を見せました。

終わってみれば8対1の大差となりましたが、JAL、アズビルとも投手の力投が光り、緊張感のある試合が続きました。双方死力を尽くした好ゲームだった言えるのではないでしょうか。

栄冠に輝いたJALの須貝謙司監督は、「勝てない時期が続いたが、勝ちたい、優勝したいという気持ちが強かったことがこの結果につながったのでは」と話します。須貝監督は、54回大会からのJAL連覇時代を野手として支えた経験の持ち主。
「今年は、3年目のキャプテンがチームメンバーを鼓舞し優勝を呼びかけ、ムードを盛り上げてくれたことが大きかったと思う。彼らは優勝を知らないので、私としてもどうしても優勝させたかった。半分以上がパイロットで練習に集まるのも難しいなか、よく練習に集まってくれたと思う。有給をとってまで参加してくれた選手もいました。決勝前日にそこの(神宮の)バッティングセンターで練習した人たちもいたというくらい、みんな気持ちが入っていました。決勝戦はたまたまホームランが3本と長打に恵まれましたが、今年は走ることを心がけて、しっかりと守り、1点をつなぐゲームで勝ち上がってきました。今日も投手のできが良く、継投もうまくいきました。今日はどしゃぶりになることもありましたが、最後まで投手を信頼して見ていることができたと思います。来年はディフェンディングチャンピオンとしての出場となるので、私の役目としては慢心しないよう引き締めること。かつての四連覇を超えられるよう、まずは来年も優勝して二連覇を目指したいです」

一方、アズビルの鷹野聡監督は、「投打にわたって圧倒的。何もさせてもらえないまま終わってしまった」と肩を落とします。

「こういう大会に出てくるレベルのチームじゃないなと。今年はうちも有望な若手が入ってくれて、チームのレベルも底上げされました。投手、捕手と内野手の軸がしっかりしてきて、初戦で快勝して波に乗ってからは、2回戦・3回戦は“普通の”チームでなんとか戦えたし勝つこともできたが、決勝だけレベルが違っていたと思います。決勝はなんとか接戦に持ち込みたかったですが、4回がターニングポイント。エラーが重なって、そのフォローができなかったことで、一気に崩れてしまいました。相手投手のレベルも高く、打線がつながらなかったのも痛かった。来年については、転勤の多い会社なのでまずは選手が揃うかどうか。そして来年もまずは初戦を突破することを目標に臨みたいと思います」

3位決定戦は東宝ゴジラ対みずほ証券という強豪同士の対決となりましたが、みずほ証券の投手が連投疲れで精細を欠く一方、東宝ゴジラがいつものハイテンションで猛攻撃を連発。9対2の5回コールドでみずほ証券を破りました。

JALの優勝で終わり、企業の草野球ならではのさまざまなドラマが垣間見えた第78回大会。来年はいよいよ神宮での開催はなくなり、新天地での開催となります。JALの連覇はなるか、はたまた今年のアズビルのようにダークホースが出現するか。来年の丸の内野球にも注目です。

Photo:sunPlax .co,ltd
Writer:Toshiyuki Tsuchiya

活動分野:エリア内の交流促進
プロジェクト:丸の内軟式野球大会