第79回丸の内軟式野球大会、日本郵船が6年ぶり優勝

実施日:2025年8月24日(日)

8月24日、大宮けんぽグラウンドで第79回丸の内野球の決勝戦が行われ、接戦を制した日本郵船が6年ぶりの優勝に輝きました。準優勝はJORDANS(三菱UFJ銀行)、3位は三菱地所でした。

神宮外苑の軟式野球場が使用できなくなったことから、今年の丸の内野球は一部の試合を除いて、ほとんど大宮のグラウンドで開催されました。46チームが参加し、7月13日の開幕戦から熱戦を繰り広げました。一方の山からは、強豪・東宝ゴジラ、三菱地所を下したJORDANS(三菱UFJ銀行)が、もう一方の山からはみずほ信託銀行、JAL(日本航空)、EY(EY新日本有限責任監査法人)といった強豪を打ち破ってきた日本郵船が勝ち上がり、決勝で激突しました。

決勝戦は38度の炎暑の中、午前11時30分にプレイボール。朝からわずかに吹いていた風も、試合開始とともにぴたりと止み、グラウンドでの体感は40度を超えていました。アンパイアも「とにかく無理はしないように」と選手に呼びかけるほどでしたが、両チームの投手が好投を見せ、緊張感の漂う展開となり、暑さを感じさせませんでした。

JORDANSのピッチャーは、鋭く伸びのあるストレートとキレのあるカーブを決め球に、日本郵船打線を抑えました。一方の日本郵船のピッチャーは、重い球質と対角線を使った投球術でJORDANSの打線を封じました。そのうえ両チームとも守備が引き締まっており、息の詰まる展開が続きました。

均衡が崩れたのは4回表。二死から3番打者が初球をセンターへ叩き返し、長打となって三塁へ進みました。さらにセンターからの送球の隙を突いて一気にホームを陥れ、ランニングホームランとなって1対0。その後、四球とセンター前ヒットで1、3塁の追加点のチャンスを迎えましたが、JORDANSのピッチャーが力投を見せ、流れを断ち切りました。

JORDANSも4回裏にファースト強襲ヒット、5回裏にはライト超えのツーベースと好機をつくりましたが、打線がつながりません。最終回の7回裏には代打攻勢で流れをつかみかけましたが、最後は日本郵船のリリーフがしっかり抑えました。

攻守ともにレベルの高いチーム同士による緊張感のある投手戦で、野球の醍醐味と面白さを感じさせる決勝戦となりました。

優勝した日本郵船のキャプテン、内桶達史さんは試合後のインタビューで「勝負どころの1本で決まった」と話しました。

「JORDANSの投手の質が高いことは分かっていたので、連打は厳しいと割り切り、三振になってもいいからとにかく腰の高さは振っていこうと決めていました。なんとか先制したいと考えて先攻を選び、本当に先制できたことに尽きます。今大会はバッテリーがリズムを作ってくれたおかげで守備も安定し、終盤まで食らいつくパターンで競り勝ってきました。会社が今年で創立140周年という節目の年に優勝できたこともうれしいです」

1点差で惜敗したJORDANSの選手兼監督、和田充弘さんは「あと一歩及ばなかった」と振り返りました。

「チャンスの数はこちらのほうが多かったのに、それを生かせなかった結果です。ピッチャーや守備のレベルでは負けていなかったと思いますが、相手投手をあと一歩、打ち崩せませんでした。丸の内野球はレベルが高く、参加して2年目で決勝まで進めたことには満足しています。ひとつひとつレベルを上げ、来年こそは優勝を狙いたいです」

3位決定戦は三菱地所が制す

3位決定戦は決勝に先立つ午前9時30分にプレイボール。準決勝で敗退した三菱地所とEY新日本有限責任監査法人が対戦しました。どちらも重量打線が持ち味で、ここまでも爆発的な打撃で結果を出してきた両チーム。本戦も激しい乱打戦となりました。1回に両チームが打者一巡する猛攻を見せ、先攻の三菱地所が3点を挙げると、その裏にEYが6点。さらに2回表に三菱地所が再び打者一巡の猛攻で逆転し、3回にも四球からの連打で追加点を挙げて10対6に。その後EYもランニングホームランなどで追いすがりましたが、力及ばず10対8で決着しました。長打の連続は、決勝とはまた違った意味で野球の面白さを感じさせる好ゲームでした。

EYの追撃を振り切ったのは、三菱地所の投手・瀬戸奏琉さんの好投でした。中学校以来のブランクを経て、今大会の準決勝から登板。速球と低めに決まるスライダーを武器にEY打線を封じ込みました。

「1回は球を置きに行って打たれてしまったので、2回からは腕を振り切るようにして、なんとか抑えられました。今年はなかなかメンバーが揃わず苦戦が続きましたが、ひとつひとつ勝つことでチームに自信がつき、なんとか勝ち上がれました」(瀬戸さん)

80回記念大会へ向けて

2026年には記念すべき第80回を迎える丸の内野球。80回大会に向けて「さまざまな工夫を凝らしたい」と話すのは、主催するNPO法人大丸有エリアマネジメント協会(リガーレ)事務局長の大谷典之。

「丸の内野球は、日本を代表する企業が参加し、戦後すぐに始まった由緒ある大会です。今年の決勝は、レベルの高い熱戦で、お互いに真剣に勝負しながらもリスペクトし合い、競い合っていた点に感動しました。80回の記念大会では、この熱戦と感動を丸の内の皆さんにもお伝えしたいですし、選手の皆さんが交流できるアフターパーティーのような企画も検討したいと考えています。皆さんからも意見を伺い、さまざまに工夫していきたいです」

今年はほとんど大宮での開催となり、移動の負担や猛暑の問題もありましたが、大きな事故もなく無事閉幕できたことに「ひとまずはホッとした」と大谷。来年の第80回大会に向けて、より多くの企業の参加とアイデアの募集を呼びかけています。

Photo:sunPlax .co,ltd
Writer:Toshiyuki Tsuchiya

活動分野:エリア内の交流促進
プロジェクト:丸の内軟式野球大会