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昼は涼しく、夜は楽しく。都市の夏を更新する「Marunouchi Street Park 2026 Summer」レポート

実施日:実施日:2026年7月24日(金)〜8月23日(日)

35℃以上の暑さも珍しくはなくなった2026年の夏。青々とした緑が楽しめる丸の内仲通りに、今年も「Marunouchi Street Park 2026 Summer」がやってきました。暑いなかでも、仕事や買い物、散歩など、それぞれの目的で人々が往来する場所。それが丸の内仲通りです。

「Marunouchi Street Park」(以下、MSP)は2019年にスタートしています。17回目となる今夏のテーマは、「Playful Chill Street -Cooling Day(クーリングデイ)/ Neon Night(ネオンナイト)-」。昼は涼しく過ごすためのアイデアを、暑さが和らぐ夜は人が集い交わる場を。ひとつのストリートに二つの顔を持たせることで、一日中過ごせる“居場所”づくりを目指しています。

過去最多11社との共創で、屋外でも涼しく

丸の内仲通りではこれまでも、平日の日中や休日に交通規制を行い、キッチンカーや憩いの場を設けることで、屋外で快適に過ごせる環境づくりに取り組んできました。

一方で、年々厳しさを増す夏の暑さにより、屋外で過ごすこと自体が難しくなってきています。せっかくの空間を使いきれていない—— そんな課題を背景に、今年は過去最多となる11社と共創。涼しさを五感で体感できるエリアを設置しています。

各社の知恵が詰まったエリアと夏ならではのフードやドリンク、定期的に開催されているイベント。それらを楽しんでいるうちに、まちは昼から夜へと顔を変えていきます。仲通りはMSPを通して、“都市における新しい夏の過ごし方”を体験できる場所へと姿を変えているのです。

五感で“涼”を感じる

まず訪れたのは、丸の内二丁目ビル・丸の内仲通りビル前にある「日陰エリア」。ベンチの頭上には東レ株式会社のシェード素材「サマーシールド®」が設置されています。遮熱性・遮光性・UVカット性を兼ね備え、−4℃以上のクーリング効果を生み出すこの素材。実際に、日差しの強い午後でも、落ち着いて食事や会話を楽しむ人の姿がみられました。

注目したいのは、頭上の一部がすだれになっていること。「どちらがより涼しく感じられるか」というアンケートをとることで効果を検証しています。これも、「よりよい道路空間づくりにつなげるための社会実験」という側面をもつMSPならではの取り組みです。

続いて、隣の「風エリア」では、風に揺れる水色とピンクの布が涼やかに迎えてくれます。柔らかな風が流れ、体も心も涼しくなれるエリアです。中央には、株式会社point0による体感温度を5℃低減する「空調機能付きベンチ」も設置されています。

座ってみると、屋外にいることを忘れてしまいそうな心地よさ。ついつい長居してしまいます。仕事や買い物の休憩にぴったりで、取材中も親子連れやワーカーがかわるがわる足を休めていました。ベンチには木端材を活用するなど、サステナブルな視点も感じられます。

夜風を感じながら、芝生の上でヨガ

取材をした7月29日には、ウェルネス・イベントエリアでティップネス丸の内のご協力のもと、「Marunouchi Night Yoga」が開催されていました。期間中の毎週水曜18時15分から開催されており、インド出身のインストラクター、TARUNさんのリードのもと、初心者でも気軽に参加できます。

芝生の上にマットを敷き、美しい緑に囲まれた空の下で身体を伸ばしていく時間。仕事終わりに立ち寄ったワーカーの姿も多く、夜風が心地よく感じられる時間帯とあって、終始リラックスした空気が流れていました。

また、明治安田生命ビル前では、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のご協力のもと、高機能人工芝「パーマヴォイド人工芝」を活用した暑熱対策の実証実験も実施されました。雨水を循環させる貯水・排水システムにより、気化熱を活用して芝生表面の温度上昇を抑える仕組みで、都市空間における暑熱対策の可能性を検証。スポーツの現場で培われた技術をまちの道路空間へ応用し、暑さが厳しさを増す都市における新たな公共空間のあり方を提案できました。

日が落ちると、“夜の遊び場”へ

日没を過ぎ、あたりが少しずつ暗くなってくると、各エリアがネオンで彩られ、通りの表情が一変します。「Neon Night」の時間の始まりです。

モクテル(ノンアルコールカクテル)やフードを楽しめる「Marunouchi Mocktail Stand」には、仕事帰りや飲み会前の一杯を楽しむ人の姿も。ランタンを卓上照明として囲みながらボードゲームを楽しむことができ、BEAMS RECORDが選定した楽曲の雰囲気にあわせて飲食店とはまた違った雰囲気でリラックスできるため、会話も弾みます。

他にも、ネオングッズとして輪投げやけん玉、縄跳びといったアイテムも無料で貸し出されています。同僚との交流のきっかけにするのもよし、お出かけの際に家族で楽しむのもよし。特にネオンに光る縄跳びは珍しいようで、大人も思わず手に取っていました。オフィスとは違う同僚の顔がみられて、新鮮な気持ちになりそうです。

日が落ちてからも、涼しく心地よく

和らぐとはいえ、夜でも暑いのが昨今の夏。涼しく過ごすためのアイデアは、夜も活躍します。
丸の内パークビル・明治安田生命ビル前にある「ミストエリア」では、上部からミストが降り注ぎます。その気化熱により、周囲温度は2〜4℃低減。細かなミストは肌や髪に触れても不快感がないので、涼しく快適です。夜間もネオンに囲まれて明るいため、簡単な食事を楽しむ人の姿もみられました。

この隣にあるのが、緑色のライトアップが印象的な「音・香りエリア」。耳を澄ますと、鳥のさえずりや川のせせらぎが聞こえてきます。音を楽しんでいるうちに気がつくのが、ユーカリミントの香り。音については株式会社JVCケンウッドの音響技術、香りはプロモツール株式会社による技術によってこの空間が実現しました。エリアに入った人からは「いい香り!」「音も聞こえるね」といった声があがっていました。爽やかな香りと音に包まれて深呼吸をすれば、暑さだけでなく忙しさにとらわれた心も、クールダウンできそうです。

続いて、仲通りの端を訪れると、ピンク色のワゴンが。これは花王株式会社のヘアケアブランド「melt」による「休息美容スポット」です。立ち寄ってみると、『スパークリングケアスプレー』で気軽にセルフヘッドスパが体験でき、気分もすっきり。SNSでも話題のヘアケアブランドとあって、これを目当てに訪れる人も多いのだとか。このエリアにはクッションが置かれたベンチもあり、頭や肌をすっきりさせた後でリラックスした時間を過ごせます。

丸の内から進化していく「都市の夏」

さまざまなアイデアが集まるこの「Marunouchi Street Park 2026 Summer」では、アンケート調査に加え、サーモカメラなどを活用して各ゾーンの温度変化を可視化・計測しています。

来街者711名を対象としたアンケートでは、各エリアの快適度を5段階(5=快適、1=快適でない)で評価してもらいました。その結果、最も評価が高かったのは「風エリア」の4.1。続いて「ミストエリア」が4.0、「日陰エリア」が3.9、「涼を感じさせる音」「涼を感じさせる香り」がともに3.6となりました。


自由回答では、風エリアに対して「一瞬で体感温度が下がる」「視覚的にも気持ちがよい」「1日中いられる」、日陰エリアに対して「日陰があれば気温ほど暑くない」といった声が寄せられました。ミストエリアには「気持ち良かった」という感想があった一方、「スマホや本が濡れるので通るくらいがいい」という意見も。音や香りについては「音が涼しさにつながるのだなと思った」「中に入るとほんのり感じた。確かに涼しげな雰囲気が感じられた」という感想が聞かれ森のような心地よさを求める声がありました。さらに、気になっていた日傘を実際に外で使えたという方からは、「常設してほしい」という声もあがっています。

続いて、サーモカメラによる検証結果です。日陰エリアと風エリアで、天幕や送風、ミストの有無による温度の違いを比較しました。

日陰エリアでは、天幕の有無による温度差が顕著に表れました。「サマーシールド®」を使用した天幕は遮熱効果が高く、地表や体表の温度が下がる様子が確認できました。風エリアでは、熱をもつ箇所を涼しくすることで身体全体の温度が下がっていることがわかりました。

環境改善の効果をデータから分析することで、これからの「都市の夏」の構想へと役立てていきます。

「暑いから外に出ない」ではなく、「暑い日でも、外が気持ちいい」。そして日が落ちれば、そこは人と人が出会う場所になり、昼も夜も楽しめる。魅力あふれる東京・丸の内は、これからも「都市の夏」の過ごし方を更新し、発信していきます。

Photo:Yuka Ikenoya (YUKAI)
Writer:Marie Suzuki

活動分野:公的空間を活用した賑わいづくり
プロジェクト:Marunouchi Street Park