「丸の内仲通りアーバンテラス」が「まちなか広場賞」大賞を受賞しました

リガーレが取り組む「丸の内仲通りアーバンテラス」が、第5回「まちなか広場賞」(主催:公共空間の「質」研究部会)の大賞を受賞しました。そして9月20日、岩手県・オガール紫波にて授賞式が行われました。その模様をレポートします。

まちなか広場賞とは

審査員長・園田聡氏

「まちなか広場賞」とは、公共空間の活用事例やノウハウの蓄積・発信を行う「公共空間の『質』研究部会」が主催するもので、その年に応募のあった日本全国の公共空間活用事例の中から、その空間を通じて人々に居場所や出会いの機会を提供し、生活を豊かにする独創的かつ発展的な事例を表彰するというものです。今年で第5回目を迎えていますが、そもそもは、現代の「街の賑わい」に対する疑問からスタートしたものであると、審査員長 園田聡氏(有限会社ハートビートプラン)は説明しました。

「街の活性化具合を測るとき、通行量や居住人口、小売業の販売額などが多くの都市で指標にされています。それらを見たとき、例えば東京都中央区は兆を超える販売額を誇りますし、新宿駅は乗降客数が世界で最も多い駅です。また、渋谷のスクランブル交差点は多いときで1回3000人もの人が行き交うと言われています。こうした事実だけを見ると、これらの街は賑わっていると言えますが、だからといって、人やお金の量が多いことがすなわち豊かなわけではないと、私たちは思っています。
しかしながら我々は、豊かさの質を説明するための共通言語を持っていません。そこで、新しい公共空間の評価指標を作りたいと考え、まちづくりに関わるメンバーが集まって議論を交わし、世の中に投げかけ、仲間を増やしたいと考えています。このまちなか広場賞は、そのための一環であるのです」(園田氏)

こうした理念に共感した全国の企業や自治体、組織から応募を募った結果、今年のまちなか広場賞の受賞結果は以下の通りとなりました。

・大賞:丸の内仲通りアーバンテラス
(東京都千代田区丸の内三丁目2番3号/NPO法人大丸有エリアマネジメント協会)
・特別賞:新とよパーク(新豊田駅東口駅前広場)
(愛知県豊田市若宮町8丁目7番/豊田市役所都市整備課)
・特別賞:オガール広場
(岩手県紫波町/紫波町)
・特別賞:渋谷キャストガーデン
(東京都渋谷区渋谷1-23-21/東急株式会社 渋谷開発事業部渋谷運営グループ)
・奨励賞:三角東港広場 羽未の公園(うみのこうえん)
(熊本県宇城市三角町/風景工房)
※()内は応募空間の所在地と応募者名

各賞の受賞者たち。
上段左:丸の内仲通りアーバンテラス、上段中央:新とよパーク、上段右:オガール広場
下段左:渋谷キャストガーデン、下段左:三角東港広場 羽未の公園

エリアに愛着を持ってもらうことを目指した「丸の内仲通りアーバンテラス」

プレゼンをするリガーレ イベントプロデュース担当の中嶋美年子

賞の主旨の紹介に続き、各賞受賞者によるプレゼンテーションが行われました。リガーレからはイベントプロデュース担当の中嶋美年子が登壇しました。

昼間人口の多い“仕事をするために来る場所”というイメージを持たれることの多かった大丸有エリア。そんな街を「道路空間を活用して街に賑わいを生み出し、将来に向けて国際競争力の強化を図る」ために取り組まれたのが、丸の内仲通りアーバンテラスです。この取り組みは、リガーレだけではなく、千代田区や東京都といった行政、JR東日本、さらには大丸有まちづくり協議会、大丸有環境共生型まちづくり推進協会といった企業・組織と連携し、2年間のモデル事業を経た上で定常的な空間へと昇華。現在では、ラジオ体操や綱引き大会、企業と連携したプロモーションイベントなど、多種多様な催しが開かれています。こうしたイベントを実施する上での心構えについて、中嶋は次のように話しました。

「“人を集める”ためにイベントをやるのではなく、魅力的な空間を作ることで人々がそこで体感し、このエリアに愛着を持ってもらう”ことを意識してプロモーションを仕掛けています」

そうした思いが詰まった最新事例として紹介したのが、今年5月に行った「MARUNOUCHI STREET PARK」です。約100時間限定で丸の内仲通りに天然芝を敷き広場にしたこの取り組みは、単に人を呼び込むだけではなく、周辺の店舗の売上アップなどの相乗効果も見られ、「仲通りのあり方をワンステップ進めるものだった」と、中嶋は口にしました。

広場は「誰のため、何のため」につくるのか

パネルディスカッションの様子

続いて、「まちなか広場が示す、公共空間の未来」と題して、各受賞者を交えたパネルディスカッションへと移ります。モデレーターを務めたのは審査員を務めた上田孝明氏(株式会社日建設計 NIKKEN ACTIVITY DESIGN lab)と鈴木美央氏(O+Architecture)。上田氏からは、「今後、丸の内仲通りアーバンテラスで検討していること」について問われました。これに対して中嶋は丸の内ストリートパークの事例に触れながら次のように回答しました。

「丸の内ストリートパークは、日常的に大丸有エリアを使う人々や、行政からも非常に良い反応をいただけました。通常、人が移動する場所である道路が滞留する場所になり、広場としてのシーンを作れた事は活気的で今後の仲通りの在り方を考えるきっかけとなりました。ただ、評判が良かったということだけで車両交通規制を行い、通りを広場にしてしまうのは違うと思います。“広場をつくる”ことを目的化するのではなく、誰のために、何のために広場をつくるのか、を考えながら
また季節ごとのシーンを踏まえ、その深堀りを進めていきたいと思っています」

さらに中嶋は、今後の展望として「冬の広場づくり」を検討したいと話し、パネルディスカッションを締めくくりました。

「冬の寒い時期は人が、よっぽど綺麗なイルミネーションなどがないと人は集まりません。そこで、冬の時期に公園化するには、どのような使われ方があるのか、、検証したいという考えもあります。もちろん、そのためには先ほど話した“広場をつくる意義”をしっかりと考えなくてはなりませんから、有識者の方を含めた検討会なども実施していきたいと思います」

これからもリガーレは、大丸有エリアに賑わいをもたらし、この地域に関わるすべての人々に豊かさを提供して参ります。どうぞご期待ください。

全受賞者・審査員で記念写真を撮影し、表彰式を締めくくりました

 

 

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