快適で安全な場所を選ぶ時代。丸の内仲通りから、街の未来を考える Marunouchi Street Park 2021 Spring

「Marunouchi Street Park」は、丸の内仲通りに天然芝を敷くことで緑豊かな広場空間とし、エリアのワーカーや訪れる人に憩いの場を提供する社会実験プロジェクトです。2019年から始まり3回目となる今年は、より歩行者に開かれた空間であることはもちろん、社会実験として、通りの役割や季節ごとの変化を検証するため、「春」「夏」「冬」の3期構成で実施します。
4月24日(土)から5月9日(日)の期間には、その第1期目として、「感じよう、春のストリート」をテーマに、「Marunouchi Street Park 2021 Spring」を実施。昨年に続き、コロナ禍における屋外空間のあり方も検証し、オープンエアで密が避けられる屋外ならではの、安心して働き、憩える空間を展開しました。

バリアフリーに配慮、誰もが安心してくつろげる空間へ

丸の内二重橋ビルと新東京ビル前のブロックには、天然芝が敷き詰められ、緑豊かな広場が出現。今年は新たに、滑り止め加工をした枕木風の通行路を確保し、ヒールを履くワーカーやベビーカーを押す子供連れなども入りやすく、歩きやすい空間になりました。

また天然芝は、季節に合わせて選定し、茨城県那須で取れた西洋芝を用いることで、靴底に芝がつきづらく、また常緑であることからより緑豊かな自然を感じられる空間となっています。

「密」を避けつつ、つながりを感じられる仕掛け

通りには、歩いて楽しむだけでなく、そこに滞在し、ゆっくりとくつろげる仕掛けも。スタンディングワークスペースとしても機能する長さ約5メートルの「“だれでも”ベンチ・カウンター」や、六角形の木製ユニットを組み合わせた「“どこでも”六角ベンチ」、ラタンソファやガーデンパラソルでプチ・リゾート気分を味わう「“ゆっくり”デッキ」などが用意され、来訪者が屋外空間でのびのびと、リラックスする姿が見られました。

中でも照明を挟んで両面に座るベニヤで作られた屋根付きの「“つながる”ベンチ」は、飛沫が拡散しやすい対面形式を避けつつ、他人同士が偶然ひとつ屋根の下に居合わせることで不思議とつながったような感覚を得られる仕掛け。いずれの什器も、感染防止に配慮しながら、つながりを感じることができるような設計となっています。

また、株式会社イトーキ、花王株式会社、東邦レオ株式会社、西川株式会社、三菱地所株式会社の5社が立ち上げた、これからの時代の働き方の文化を検証・提案・実践するためのプロジェクト「Marunouchi Work Culture Lab」とも連携。西川株式会社の協力で、来訪者が寝てくつろげる「ちょっと寝ベッド」も用意され、木漏れ日の下、リフレッシュしたり、リラックスしながら仕事するワーカーの姿が見られました。また、休日には楽しそうに自由に寝転がる子供たちの姿も見られ、微笑ましいひと時でした。

今年も、筑波大学と千葉大学の協力のもと、丸の内エリアで働く20〜30代の男女20名に、花王株式会社が提供するウェアラブル心電・呼吸・加速度センサーによる生体計測やアンケート調査等を実施。都心部の緑豊かな屋外空間で働くことの生産性・快適性・健康効果等を計測しました。
「Marunouchi Street Park」を1つのワークプレイスとして捉え、屋外で働くことが今後の働き方の有効な選択肢となり得るかどうか、またどのような作業や仕事が屋外環境で行うのに適しているか検証することで、丸の内の街全体で屋内屋外問わず働ける環境を整備していきます。

2019年当初は5日間限定だった取り組みも、2020年には42日間、今年は年間通して100日以上が予定されている「Marunouchi Street Park」。当協会事務局の大林悟郎と中嶋美年子は、本社会実験における注力ポイントや、今後の可能性について語りました。

「今年はひとつステージをあげて、持続可能な取り組みにするというところに力を入れています。たとえば、芝生。実験で使用したものの一部は、新東京ビルの屋上に移設し再生しなおし、今年の夏に再利用する予定です。残りは特殊肥料生産パートナーへ運び、約8か月かけて有機堆肥へ変えていきます。実験期間中だけでなく、次に生かせる仕組みを考えていくことで、『Marunouchi Street Park』の取り組みそのものも持続可能にしていきたいと考えています」(中嶋)

「通りの機能についても、さらに追求していきたいですね。今年は、昨年の来訪者アンケートでいただいた意見を参考にしながら、バリアフリーの機能を強化することに注力しました。芝生を全面に敷くだけでなく、枕木風の通行路も作りましたが、実際に昨年よりも女性やお子さん連れの方々に歩いていただいている印象がありますね。

また、『Marunouchi Street Park』を、もっともっと、このエリアの就業者や来訪者をつなぐ場所にしていきたいと考えています。まだ具体的な構想段階ですが、『Marunouchi Street Park』の芝生を一緒に敷くとか、お花を一緒に植えるとか。そういった取り組みを通じて、このエリアのコミュニティの輪を広げていきたいです」(大林)

コロナ禍におけるリモートワークの推進により、働く場所を自由に選ぶ人々が増えてきている昨今。新鮮な空気を吸えるオープンエア空間に対するニーズは、確実に高まってきています。当協会では、オープンエアの道路空間を使った社会実験「Marunouchi Street Park」を通じて、今後も丸の内の街全体を俯瞰的に見ながら、将来の仲通りのあり方を検証していきます。




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