2022年で4年目を迎えた「Marunouchi Street Park(MSP)」。東京あるいは日本を代表するストリートの丸の内仲通りを中心に、快適でウォーカブルな都心の広場・公園的空間の創出を目指す取り組みです。2022年は夏と冬の2回開催し、訪れた人たちの笑顔あふれる、やさしいにぎわい空間を創りました。
Marunouchi Street Park 2022 Summer
――「みんなのMSP」が合言葉。多様な人たちを包摂するやさしい空間に
8月2日~9月11日に実施した夏のコンセプトは、「みんなのMSP」。丸の内仲通りを訪れる多様な人たちが、五感で自然を感じ、人や街、文化とつながり、ついついまったりと過ごしたくなる“みんなの都市公園空間”の創出を目指し、①D&I(Diversity & Inclusion; 多様性と包含)②Communication――をテーマに取り組みました。
Block 1: MSP Refresh Space(丸ビル前)
▽キッズライブラリー&キッチンカ―エリア▽大人ライブラリーベンチ▽運動スペース――などを企画し設置。子どもも大人も本に親しみ、ゆっくりくつろげるような空間となりました。円柱型のキッズライブラリーは、子どもの背丈に合わせて中に入る設計でしたが、大人が楽しげに身をかがめて入り込む姿も。運動スペースには卓球台を設置。視覚障がい者用のサウンドテーブルテニス台も置いて、利用者は思い思いに体を動かしてエンジョイしていました。
Block 2: MSP Music Restaurant(丸の内二丁目ビル前)
▽芝生のストリートピアノ▽2階建てテラス席▽みんなのテーブル――などからなるMSP Music Restaurant。丸の内の瀟洒な雰囲気に映える真っ白なストリートピアノは、道行く人たちの注目の的。演奏が始まると、多くの人たちの足は自然と止まり、都心空間でのピアノの音色に耳を傾けていました。沿道に店を構えるCafe & Restaurant「GARB Tokyo」の特設テラス席として設置した2階建ての仮設建築物、さまざまな人が一堂に集えるD&Iを意識して作られたドーナツ型のみんなのテーブルと、訪れた人たちの笑顔あふれるコミュニケーションが生み出される空間となりました。
Block 3: MSP Garden(丸の内パークビル前)
▽みんなのベンチ▽ピクニックエリア▽キッチンカ―エリア▽和ハッカのドライミスト――などを設置したMSP Garden。ピクニックエリアでは、芝生にシートを敷いてみなさん思い思いにくつろぎの時間を満喫。ワンちゃんなどペットも一緒に利用できたのも喜ばれました。みんなのベンチは、車いすの方も使いやすい設計にしたり、備え付けのコンセントでPCやスマホを充電できたりと、いろいろなニーズに応えました。
Marunouchi Street Park 2022 Winter
――初めて行幸通りも会場に。累計66万人が来訪!世界に誇る都市空間を演出
冬は12月1日~25日(11月29・30日にプレオープン)に実施し、累計約66万人(※丸の内仲通りのみの概算カウント数)の人たちが訪れました。今回はMSPで初めて丸の内仲通りを飛び出し、東京駅と皇居をつなぐ荘厳たる行幸通りも会場に。都市観光としての街の魅力発信を目的に、コロナ禍から力強く再出発する日本の姿を国内外に広く届けるような演出としました。
Twinkle Arena(行幸通り)
皇居側に環境配慮型の樹脂製スケートリンク、東京駅側に協賛のルイ・ヴィトンと日本を代表するアーティストの草間彌生さんがコラボしたアートオブジェやキッチンカーなどを設置。国内外に東京、日本の今を発信するにふさわしい空間を創り出しました。
Block 1: Twinkle Party(丸ビル前)
▽大丸有エリアの店舗などと連携したクリスマスマーケット&丸ビル外構部のキッチンカー▽メリーゴーランド▽光の輪投げ――などを設置。クリスマスマーケットには雑貨やアクセサリーなどクリスマスシーズンを彩るグッズたちが並び、訪れた人たちのクリスマス気分を一段と盛り上げました。メリーゴーランド、光の輪投げも大人気。メリーゴーランドはピークで50人ほどの列ができたことも。
Block 2: Twinkle Terrace(丸の内二丁目ビル前)
夏と同じく人気のストリートピアノや、キッチンカ―などで訪れた人たちを楽しませたTwinkle Terrace。演奏時にはピアノを取り囲むようにたくさんの人たちが集まるなど、丸の内に響く音色を“通りすがりのピアニスト”らとともに堪能しました。キッチンカ―では期間限定で帝国ホテルも出店。
Block 1と2それぞれに、自撮りスタンドとヒーター機能を備えるホットベンチを配置。いずれも大人気で、自撮りスタンドには長蛇の列が。MSPで味わう特別なクリスマス空間を思い出の一枚として収めていました。
Block 3: Tiffany Holiday Street(丸の内パークビル前)
2022年で日本上陸50周年のティファニーが手掛けた、洗練されたクリスマス空間。星や鳥などのオーナメントで装飾されたクリスマスツリーやモダンで幻想的な球体オブジェなどが置かれ、「ほんと素敵。来て良かったね」と行き交う人たちに思ってもらえるようなエリアとなりました。
担当者インタビュー
事務局の田辺紀人は、「私たちは仲通りを将来、常設としての広場化や歩行者空間化へと変える可能性を探っています。そのためMSPを通じ、これまでさまざまな検証を重ねてきました。2023年は将来、継続して展開させてゆくための運営手法や設置物の研究など、実際に常設化した時の全体の状況を視野に入れて取り組みを進める段階に来ているのかなと思います」と語り、同じく事務局の内藤加奈子は、「MSP2022では、大丸有エリアのテナントさんたちと協力して、キッチンカ―やマーケットの出店、各プロモーションなどに取り組めました。エリアマネジメント団体である当協会の趣旨に照らしても、今後もっとエリアの関係者を巻き込んで創り出す空間があったら良いなと思っています」と今後の展望を話しました。
一歩ずつ常設化に近づくMSP。2023年は、どんなコンセプトのもとに丸の内仲通り周辺に現代都市の先端を走るウォーカブルで魅力あふれる空間が生み出されるのでしょうか。みなさん、Marunouchi Street Park2023も楽しみにしていてください。