2019年から実施され、今回で12回目となる「Marunouchi Street Park」が今年も開催されました。 行幸通りや丸の内仲通りの今後のあり方や活用方法を検証する社会実験として、毎回さまざまな取り組みが行われていますが、今回は冬のシーズンとしては初の5ブロックでの開催となり、イルミネーションが煌めく中、さらなる賑わいを見せました。
今年もシャンパンゴールドのイルミネーションが大勢の人を魅了
丸の内エリアの冬の風物詩となっているイルミネーションは毎年大好評で、今年は海外からの旅行者の多さも印象的でした。約1.2kmにわたるメインストリートである丸の内仲通りを中心に、有楽町駅前の東京交通会館を含む丸の内エリアの約286本の街路樹が、シャンパンゴールド色に彩られました。
そんな中、Marunouchi Street Parkのクリスマスマーケットでは、今回も大丸有エリアの店舗やホテルなどと連携し、物販・飲食店舗を計6店舗展開しました。ほかにも、例年人気の帝国ホテルのキッチンカーは新商品も取り扱い、期間限定で出店。ホテルのベーカリーで焼き上げた人気のブルーベリーパイやシュトーレン、スープなどホテルの味がカジュアルに楽しめるとあって、行列が絶えませんでした。
輸入雑貨店「HARMONIER」では「Marunouchi Street Park」とコラボし、丸の内エリアのイメージキャラクター「マルケン」をモチーフとしたスノードーム(2種)を特別販売。クリスマス雑貨が所狭しと並び、ひときわ賑わう店舗で愛らしい存在感を放っていました。
そして、今年の目玉商品は丸の内限定「丸の内ハニーのマルケンクッキー缶」です。新しい丸の内の魅力を体感いただけることを目指し、リガーレ(大丸有エリアマネジメント協会)が制作したクッキー缶は、エリアの5つ星ホテルである「ザ・ペニンシュラ東京」とコラボレーションしたもの。丸の内で採れた上質なはちみつ「丸の内ハニー」を使用し、このためだけに、「ザ・ペニンシュラ東京」エグゼクティブ ペストリーシェフのパスカル・シャルデラ氏がレシピを考案しました。マルケンの可愛らしさはもちろん、上品で繊細なクッキーの味わいに感動。ホリデーギフトにもぴったりです。
商品の利益はエリアマネジメント活動の資金として還元され、まちの魅力向上のために活用されます。期間終了後も、ザ・ペニンシュラ ブティック&カフェ ザ・ペニンシュラ東京店ならびに新丸ビル店でも販売が予定されています。
また、今年はラグジュアリーブランドの「ティファニー」によって彩られた特別な空間も見どころとなりました。「Bird on a Box (バード オン ア ボックス)」と題されたティファニーのアイコンである鳥の巨大なオブジェが眩しいほどに輝き、アーティスティックな雰囲気を演出。さらには、こちらのブロックのみ道路両脇にブルーのライトが施され、テーブルやフラッグ、フラワーバスケットなどもティファニーブルーに彩られるなど、訪れる人を魅了しました。
持続可能な方法でいかに訪れる人を増やすか
「Marunouchi Street Park」では道路などの公共空間を、エリアの就業者や来街者にとって質の高い「滞留」しやすい空間、「回遊」しやすい空間とすることで、大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリアの賑わいを生み出してきました。
例年冬はBlock3までの区間でしたが、今年はBlock4、5にも拡張した大規模な実施となり、より「滞留」性を高める結果となりました。また、イルミネーションが灯る下、道路空間に設置されたテーブルや椅子、ベンチでたくさんの人が寛ぐ姿が見られました。これらの一部は「Marunouchi Street Park 2024 Summer」で使用したものをリユースしており、サステナブルな観点での取り組みにも注目です。
「足を伸ばせるベンチなどは2〜3年ほど前から使用しているものです。我々はリサイクルやアップサイクルにも力を入れており、什器の開発時には長く使えるという点を大切にしています。ここ数年は、メリーゴーランドをはじめフォトスポットなどキャッチーなスポットも用意してきましたが、今年はあえてそれを控えています。というのも、私たちはこの取り組みで道路を公園的な空間に転換するという『非日常』の空間を提供しているのですが、将来的にはその空間が『日常』になることを目指しているからです。もちろん今年はティファニーさんと作り上げた華やかなスポットもありますが、全体では、我々としては集客のための大規模なコンテンツを作って賑わいを創出するのではなく、持続可能な手法でいかに人に訪れてもらい、楽しんでいただくかを重視しています。それも『Marunouchi Street Park』の意義であり、今年はそれをより実現できたのではないかと自負しています」と、リガーレ広報の猿橋拓己は振り返ります。
今年はボラード(車止め)を活用した道路空間の積極的活用に関する社会実験も実施されました。この実証実験は、株式会社三菱地所設計、株式会社サンポール、明治大学理工学部が連携して行ったもので、歩道と車道を区分するために使われてきたボラードにカウンターテーブルの機能を付えることで、新たに歩道と車道の境界に人が滞留・活動する空間を新たに創出。ボラードを起点とした人々の活動や景観の変化を調査しました。
キッチンカーのテイクアウトメニューを楽しんだり、写真撮影の台としても活用でき、実際に利用してみるとその便利さに気づき、こういった「思いやりとアイデアのある取り組み」こそが、人中心のウォーカブルなまちづくりに繋がっていくのだということに気付かされます。
東京駅と皇居をつなぐ行幸通りでは、2023年に引き続き環境配慮型の樹脂製スケートリンクを使用した「Marunouchi Street Rink」が登場。東京駅前の開放的な空間で、大人も子どもも非日常の時間を楽しみました。会期中は、フィギュアスケート元日本代表の小塚崇彦氏を招いた子ども向けのスケート教室や、アイスホッケーなどの体験型コンテンツも開催されました。
クリスマスイブの夜には、可憐な衣装を身にまとったフィギュアスケーターたちによるスケートショーパフォーマンス「Marunouchi Street Park 2024 Twinkle Street アイススケーティングショー」が披露され、多くの人が夢のような特別なひとときを満喫しました。
会期中、会場をさらに特別な場所として演出したのは「Marunouchi Street Music」という音楽の生演奏です。クラシックの名曲やディズニーソング、クリスマスソングが奏でられ、通りを歩くだけでまるで映画の主人公になったような気分を味わえました。
通りを歩く誰もがキラキラとした笑顔であふれる冬の「Marunouchi Street Park 」。丸の内仲通りの今後に期待が寄せられます。
Photo:Yuka Ikenoya (YUKAI)
Writer:Kana Yokota