オフィス街の真ん中をスポーツ、アート、リゾート空間に。
さまざまな居心地を目指した「Marunouchi Street Park 2021 Summer」

8月2日(月)から9月12日(日)の42日間、「つながろう、夏のストリート」をテーマに「Marunouchi Street Park 2021 Summer」を実施しました。

今年は春、夏、冬の3期構成で実施を予定している「Marunouchi Street Park」ですが、春に続いてより歩行者に開かれた「“人”中心の道路」を目指し、実施エリアを3ブロックに拡大してそれぞれ異なるコンセプトの空間を展開しました。

(1)体を動かしたり、リラックスできる「Sports & Relax」エリア

丸ビルと三菱商事ビル・郵船ビル前のブロックでは、屋外で体を動かしリフレッシュできるアイテムを設置。卓球スペースやバランスボールなど手軽に楽しめるものが並び、休憩中のワーカーや親子連れのファミリーなどさまざまな方が代わる代わる楽しまれていました。
また、リラックスできるスペースとして、通りに敷かれた雑草の上には寝転ぶことができる「ゴロゴロネット」を用意。オフィス街の真ん中で寝転ぶのは少し勇気が必要かもしれませんが、木々の隙間の青空を見上げると、オフィス街にいることを忘れさせます。期間中も、ぼんやり空を眺めている方が見られ、束の間のリフレッシュを堪能していました。

(2)アートなSDGs空間で、夏を感じながら飲食を楽しむ「Enjoy Eating Out」エリア

丸の内二丁目ビルと丸の内仲通りビル前のブロックに設けられたスペースでは、屋外テラスにアーティストがライブペインティングを行い、飲食を楽しみながら目の前でアート作品に触れることができる空間に。
その他にも、アーティストが中に入り込んで制作活動を行う「アーティスト in Box」や、訪れた人誰もが弾くことのできるストリートピアノなど、都心でアートを身近に感じられる仕掛けを随所に施しました。
期間中はグラフィティアートを参照して表現を行うアーティストの菅隆紀氏と高橋鉄平氏がそれぞれのエリアで制作。暑さや急な雨に見舞われながらも黙々と作品に向き合う様子に、アートの現場の緊張感が伝わってきました。

(3)リゾートのように快適でくつろげるワークプレイス「PARKcation」エリア

丸の内パークビルと明治安田生命ビル前のブロックでは、リゾートのようなワークプレイスを展開し、ワーケーションならぬPARKcationの体験を可能にしました。
皇居外苑北の丸公園に植生する武蔵野由来の雑草をイメージした「草原のワークプレイス」はブースのようになっており、腰をかけると草むらに囲まれて仕事しているような感覚に。また、SDGs・エコツーリズムの先駆けである沖縄の珊瑚砂を使用した「浜辺のワークプレイス」には、ハンモックが設置され、浜辺で波風に揺られながら仕事をするような体験ができます。草原のワークプレイスは個室のような作りのためワーカーに人気が高く、晴れた日は常に満員。ハンモックはお子さんにも人気で、都心に現れたリゾート空間を楽しまれていました。

また、各ブロックでは大丸有エリアのホテル「東京ステーションホテル」「ザ・ペニンシュラ東京」「パレスホテル東京」「丸ノ内ホテル」「東京會舘」によるキッチンカーが交代で出店されました。ホテルの味を手軽に楽しむことができる貴重な機会ということもあり、多くの方がその味を求めに訪れていました。

こうしたコンテンツの他、さらに今回は以外4つの実証実験を行いました。
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1.人々の滞留状況・属性・行動等の変化について観測する 「来街者の人流」計測
2.エリアの就業者に「Marunouchi Street Park 2021 Summer」で働いてもらい、 都心部の緑豊かな屋外空間で働くことの快適性・生産性・健康効果等を計測する 「就業者の快適性」計測
3.緑を整備した時の酷暑環境の改善効果を検証する 「温熱環境」計測
4.降雨の有無や強さを250m格子で30分先まで毎分更新で予測し情報提供する 「気象予測情報提供」
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これらの検証の結果も含めて、今後の企画・運営に活かしていきます。
当協会事務局の中嶋美年子と清水奈緒は、本社会実験における注力ポイントや、今後の可能性について語りました。

「社会実験の場として、今回も新たな要素を随所に取り入れました。全く新しい取り組みとしては、『Sports & Relax』エリアは、オリンピック・パラリンピックが開催されていることも意識しつつ、ワークプレイスやくつろぎ以外の場を提供できないかと思い、実施しました。
また、『Enjoy Eating Out』エリアでは新しい道路上の風景をつくる試みとして、アートを通した日々の変化を楽しむ仕掛けを取り入れ、『PARKcation』エリアはワークプレイスとしてより快適性を高めるための検証として、テーブルのパターンや緑の見え方に変化を持たせて展開を行いました。
『Marunouchi Street Park』が大丸有エリアにおける開かれた公園として、訪れた人が自由に心地よく過ごしていただけるためにはどういった形であるべきか、引き続きさまざまな切り口での検証を行いたいと思っています」(中嶋)

「これまでの来街者アンケートはもちろん、事務局メンバーも現場に出て実際に過ごすことで、安全性と機能性の改善を高めていきました。例えば、テーブル席にパーテーションやカップホルダーを設置していますが、これは仲通りが時折強い風が吹くためその対策として取り入れたものです。ただ、公園としてしつらえられた印象が出すぎないよう、場に馴染む自然なデザインを心がけました。
『Marunouchi Street Park』はハレとケでいうとハレとしての取り組みになりが、一過性のものではなく、この実験の場を通して培ったことを普段の運営にも活かしていきたいと考えています」(清水)

2019年に車道一面に芝生を敷き、常設の公園化するといった試みから始まり、さまざまな形で実施してきた「Marunouchi Street Park」。訪れる人々の過ごし方を見ながら、オフィス街における公園としてどうあるべきか、本当の居心地の良さとはどのように得られるものか、原初的な問いに立ち返りながら今後の取り組みへとつなげていきます。
次回は、「Marunouchi Street Park」として初となる冬の実施を予定しています。毎年イルミネーションが施され、春・夏とはまた異なる雰囲気の仲通りで、どういった空間を提供できるか。冬の実施もぜひご期待ください。

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