リガーレ第19回通常総会を開催いたしました

5月21日、特定非営利活動法人大丸有エリアマネジメント協会(以下、リガーレ)の第19回通常総会を開催いたしました。コロナ禍につき、オンラインでの開催で、2020年度・19期の振り返りとともに、2021年度・20期に向けた活動方針を発表し、コロナ禍であっても意欲的にエリアマネジメントに取り組んでいくことを確認いたしました。

冒頭、現在リガーレの会長を務める小林重敬氏が、コロナ禍でリガーレ会員の皆様に直接お会いできない状況を寂しいとしつつ、人流が減る今だからこそ、街のエリアマネジメントについて考えなければならないと挨拶を述べました。

「大丸有は、20年の歴史を持つ日本のエリマネの大元のような存在。全国のエリマネが、コロナ禍における街のあり方、エリマネ活動について模索している今、リガーレが全国にそのモデルを示すことが必要かと思います。今日は皆さんと、SDGs、新しい働き方、新しい暮らし方といった観点から議論をしていけたらと思います」

この日の報告、発表は、コロナ禍でなかなか皆様にお会いできないことから、内容ごとに各担当が顔をお見せして行いました。

小林重敬会長

■ 2020年活動報告

まず、賑わいづくり事業について、事務局の田辺よりご報告いたしました。賑わいづくり事業は、まちに人流や活力を生み出すため、イベントなどを仕掛けていく取り組みで、行幸通り、仲通りなどが舞台となります。
田辺は昨年を振り返り、「コロナが直撃した1年であった」と述べています。イベントは件数減少を余儀なくされ、実施されたものも、対コロナ対策でさまざまな施策を加えたり、リスク回避のため大幅な仕様変更などを加えたりしています。

事務局・田辺

行幸通りでのイベント開催はコロナによる中止が9件あり、4コンテンツ、35日間の開催となりました。すべて実施されていれば、昨年比108%と例年並みとなる予定でしたが、コンテンツ数は昨対で33%、日数は49%となっています。開催されたのは「打ち水」「Summer Installation」など。Summer Installationは、例年の盆踊りが難しいことから発案されたもので、全国の風鈴を展示して涼を楽しんでいただくという趣向。涼しげな風鈴の音が行幸通りを満たしました。
丸の内仲通りでのイベントは、32件68日間が中止ないしは延期となり、23コンテンツが94日間実施されました。コンテンツ数は昨対53%ですが、日数が104%と例年並みとなったのは、「丸の内ストリートパーク」(MSP)、「ストリートレストラン」など長期間イベントが実施されたためです。

また、コロナ禍での人流回復においては「屋外」がキーワードになると早くから認識されていたため、ソーシャルディスタンスや消毒等の対策をしっかりとった上で仲通りに交通規制を敷いてイス・テーブルを出してご利用いただく「アーバンテラス」や、沿道飲食店の路上利用の幅を広げた条例を利用して「屋外客席設置」などを実施しています。ほか、綱引き大会やラジオ体操など、大丸有ワーカーとともに楽しむイベントも、安全対策をしっかりしながら実施しました。
長期間のイベントとなった「丸の内ストリートレストラン」については、常務理事の藤井よりご報告しました。

本事業は観光庁の「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業に採択され行われた事業。Afterコロナ、Withコロナ時代の新たな観光のあり方を検証し、効果的・効率的に誘客に取り組む環境を整備することを目的にしています。リガーレでは「Withコロナ時代の観光モデルケースづくり」「地方創生支援とSDGs推進」を目的に設定し、これまで取り組んできた「道路空間活用」を一歩進めて「新しい生活様式」の実践として屋外での飲食スタイルのモデル創出に取り組みました。

「ヨーロッパの広場でよく見られるような、屋外にテーブルを並べている光景を丸の内でも創出したいと考えました。キッチンカーを使い、仲通りにテーブルを出してお客様に食事を楽しんでいただきました」(藤井)

メニューには、「提供しやすく、片付けやすい」としてラーメンを採用。地方創生、SDGsの観点から、高速バスの貨客混載「産地直送あいのり便」で運んだ地域の食材を、大丸有の有名シェフがラーメンにアレンジしています。10月13~23日間に実施され、来場者は延べ1351人、総販売数は1193食という結果となりました。

続いて、事務局次長大林から、昨夏社会実験として実施した「Marunouchi Street Park 2020」(MSP)についてご報告いたしました。
MSPは2019年の初開催から来街者・就業者からご好評をいただいており、2020年は実施エリアを拡大し、丸ビル前から丸の内パークビルまでの3ブロックで、7月27日~9月6日の42日間開催いたしました。

「コロナ禍での安心安全を担保するために、ソーシャルディスタンスベンチなど、密を避ける工夫をした什器を使ったり、コロナ対策で緩和された飲食店の道路占有許可を使って屋外の客席を設けたりしたほか、人流センサーで人の流れをリアルタイムで可視化するなど、さまざまな安全対策をしての実施となりました」(大林)

ブロックごとに「Open Air Office」「Cozy Green Park」「Urban Terrace⁺」などのテーマを設定し、利用状況、人の流れや行動の分析なども行っています。このうち、2020年に特徴的だったのが、「Open Air Office」です。屋外での「働く」を模索するもので、エリア内にWi-Fiや電源を用意したほか、屋外エアコンを設置して、快適に働ける空間を創出。また、電話やZoom会議など声を出すビジネスシーン用に、アクリル製の「アウラドーム」を設置するなど、さまざまに工夫しています。

事務局・大林

また、冬場の長期イベント「Marunouchi Street Terrace」についても大林から報告。新しいビル「丸の内テラス」のオープン日に合わせ11月5日に開始し、丸の内イルミネーションが始まる12月25日までの51日間、仲通りの沿道、永楽ビル、三菱UFJ信託銀行本店ビル、新丸ビルの3ビルの区間を民地も活用して彩り、働く空間、くつろぐ空間として演出しています。

「この区間の仲通り沿道は、車両規制が掛けられないために、テーブルやキッチンカーを出すのが難しかったのですが、民地側にセットバックしてスペースを活用したところ、夜間も含めて非常に活発にご利用いただけた状況となりました」(大林)

続いて、公開空地の活用、屋外広告については、長谷川よりご報告いたしました。
公開空地活用は、東京都の「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」に基づいて、公開空地を街の活性化に資する活動に利用するというもの。2020年は大丸有エリア内で15街区が登録され、その利用状況をリガーレで取りまとめて東京都へ報告します。2020年の稼働率は15街区平均15%弱となりました。
また、2020年度の屋外広告案件は3件、970万円の収入となっています。
「2018、2019年はラグビー、オリパラでかなりの案件がありましたが、2020年はコロナ禍の影響でこの件数、収入に着地したというところです」(長谷川)

DMO東京丸の内については吉岡からご報告いたしました。
MICE業界は「コロナでもっとも打撃を受けた業界」のひとつで、活動はオンライン、デジタルマーケティングに限定。今年は31社の会員のみなさまからの会費を半額にし、これを原資にした活動を行いました。海外向けのプロモーション動画の作成のほか、積極的にオンラインの営業活動にも取り組み、22件の問い合わせがあり、うち1件が成約の運びとなっています。
「コロナ禍はまだ続きますし、今後も継続して、着実にひとつずつ、インバウンドとMICEの復調に備えていきたいと考えています」(吉岡)

また、観光庁の「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業の第二期に採択され、“コロナ明け”の誘客に向けてバーチャルオンラインツアーを2021年2月に実施するなど、先を見越した活動にも取り組んでいます。
この他、エリア内の活動報告として「丸の内軟式野球大会」「エコキッズ探検隊2020」「丸の内ウォークガイド」(以上、清水より)、WEBサイト改修、メルマガ、リリース等の広報周りの報告(以上真田より)、そして事業収支報告なども行いました。

■ 2021年活動方針

2021年度の活動方針は事務局長大谷より発表いたしました。
まず大谷は、2021年の活動に向け、現状認識と課題として4点を挙げて説明しています。1点目は「人々の活動や価値観の変化に対応」。コロナ禍で日々刻々と変わっていく人々の行動と意識をウォッチし、適切に対応していくことを目指すというもの。2点目は「街のイベント継続」。コロナへの対策を徹底させ、コンパクト化、オンラインとの併用等、余儀ない変更は受け入れつつもイベントや街のにぎやかしは、やり続ける必要があるという決意です。3点目は「オンラインとリアルの連携」。理事会等、リガーレ会員企業の皆様からもご指摘、アドバイスいただいた点で、バーチャルツアー、オンライン会議等、オンラインでの情報共有の重要性がコロナで改めて認識されたとし、リアルが持つ価値に掛け合わせていきたいとしています。
そして4点目が「リアルの街がもつ価値」。コロナでオンラインと同様にリアルの重要性が確認され、エリアマネジメントによるリアルの街の価値向上が、さらに重要になるとしています。

 

この4点に基づき、2021年の活動方針を「当面の取り組み」「中長期の取り組み」「DMO東京丸の内の取り組み」「他エリアマネジメント関連」の4点で説明いたしました。

当面の取り組みは、これまで定期的に実施してきた野球大会、打ち水、ラジオ体操等のイベント類について、適切なコロナ対策を施したうえで、継続実施を原則とするとしています。
中長期的取り組みでは、「公的空間活用」「選ばれる街を目指す」の2点を柱に活動を展開します。公的空間活用では、ビーコンやGPSを使った人流センシングを進め、安全性を高め、街の利用のあり方を考えていきます。そして、「選ばれる街」とは、コロナ禍によってリモート、在宅が進んでもなお、訪れたくなる街をどう創るかというテーマです。

「どこでも働ける時代であるからこそ、このエリアに愛着心と、ここにくれば新しい発見、出会いがあるという期待感を持っていただいて、行きたくなる街として選ばれるようにならなければなりません。そのためにも、オンラインでの情報発信、リアルな価値提供というものがますます重要になるでしょう」(大谷)

この面では、コロナの時代のニーズ解析、最適なエリアマネジメントの検討、飲食店支援、コミュニティの創出など、コンセプトメイキングから具体的な活動まで幅広い内容に取り組むことになります。
DMO東京丸の内については、「引き続き極めて厳しい状況」と認識しており、「今だからこそできる活動に取り組み、コロナ収束後に向けた種をまきたい」と大谷。オンライン、デジタルでのマーケティング、プロモーションを行うとともに、コネクションの温め直しや、人脈づくりなどに力を入れていきます。また、カクテルフェアなど、街の資源を活用した新たなメニュー開発などに努めて参ります。
他エリアマネジメントに関しては、コロナ禍でエリマネネットワークのコミュニティの重要性が再認識されたとし、その強化・多様化に取り組む予定です。リガーレは全国エリマネの事務局として、若手の研究会、研修、ウェビナーなどを中心に、ネットワーク間でのつながりを強化する施策を実施していく予定です。

活動ボリュームの振り分けは、「公的空間を活用した街の賑わいづくり」に30%ともっともリソースを割き、「MICE誘致促進」25%、「交流の促進・コミュニティの活性化」20%、パブリックリレーション15%、ステークホルダーリレーション5%、普及・調査・研究5%となっています。

■ 2021年度活動報告 「Marunouchi Street Park 2021 Spring」

最後に、今年すでに実施されている「Marunouchi Street Park 2021 Spring」について、中嶋よりご報告いたしました。
今年のMSPは、季節ごとの通りの可能性を探るため、春、夏、冬の3回を実施します。

「MSPは社会実験の場として位置づけられており、2021年度は、より『人中心』の道路としていくべく、人流などの状況の季節変化や、通りとしての役割、場面の可変性を検討します。また、今後将来的に継続していくためにも、マネタイズも課題のひとつに据え、プロモーションスペースとしての位置づけや、SDGsの観点などにも重きを置いていきたいと考えています」(中嶋)

Springは、「感じよう、春のストリート」をテーマに、丸の内二重橋ビルの1ブロックで、4月24日~5月9日に実施。会期中は天然芝で環境演出を行いましたが、今回はすべて芝生で覆うのではなく、中央部にバギーを押して歩ける通路を設置しています。緊急事態宣言の発令を踏まえ、キッチンカーの出店や、屋外客席などは限定的なものとなりました。しかし、くつろげるデッキやベンチ、カウンターなどを設置したことで、家族の来街、憩いの場としての利用が顕著に見られたと報告しています。

検証事項は11項目されており、引き続き、夏、冬の開催でもテーマ設定と検証に取り組んでいく予定です。

総会の最後には、リアルでの再会を期して、全員で手を振っての記念撮影を行いました。
2021年度も先行きの見えづらい状況は続きますが、昨年度の実証分析やデータを元にさらに幅広く積極的な活動を進めてまいりますので、これからの取り組みにもご期待ください。

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